poster for 細江英公 展

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写真家・細江英公の軌跡は、日本の戦後写真史の歩みを映す鏡である。欧米でいちはやく育っていた芸術の概念を日本写真に伝え進化に貢献しつつ、表現者として時代に刺激をあたえる強烈な作品を発表しつづけてきた。
1948年、15歳で初めてのカメラを購入。十代で、瑛九、池田満寿夫、加藤正、武満徹、河原温ら強烈な個性をもつアーティストたちと交流をもち、久保貞次郎、瀧口修造、岡鹿之助らの表現に多大な影響をうける。東京写真短期大学(現: 東京工芸大学)写真技術科を卒業した21歳のころには、若くして、フリーのフォトグラファーとしてやっていくことを決意していた。
1959年、「VIVO」を、川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高とともに立ち上げ、写真家が自らをプロデュースすることでその活動が経済的基盤を確立することをめざした。(61年解散)
世界に暗黒舞踏を知らしめた、土方巽との交友は、VIVO設立と同じ1959年、「禁色」の舞台(東京・第一生命ホール)を見て感銘を受けたことにはじまる。細江同様、東北(秋田)の出身の土方は、細江が写真家になると決めた同じ21歳で、東京・神田で催された大野一雄の舞踏公演に刺激を受け舞踏家としての人生を踏みだしている。二人の出会いは、69年、写真集「鎌鼬」(現代思想社)として開花。86年土方57歳、惜しまれる逝去以降も、細江の中に土方の精神は生きつづける。土方の稽古場であったアスベスト館(東京・目黒/03年閉館)にて、浮世絵の映像を土方の弟子であった舞踏家たちの白塗りの身体に投射し撮影した、艶やかにして生のエロスをたたえたカラー作品「春本・浮世絵うつし」を制作。
その後の、デジタルテクノロジーとの出会いは、屏風、掛軸、絵巻という日本発の伝統美を写真文化の未来像にかさねあわせ、土方とのコラボレーションを時間軸とともに新たなスタイルへとつくりあげていくことになる。
エプサイトでの個展開催にあたり、細江英公が目指したものは、技術と日本文化を根幹部で融合させることであり、技術力を触媒として無限にひろがっていく表現の可能性を心ゆくまで謳歌することだったのではないだろうか。
この強靭で無垢な表現への渇望は、写真という表現方法に初めて触れたときの人々の驚きや感動とどこかで共通項を持つのかもしれない。銀塩写真への愛しみと、デジタルプリントが拓く広野を探求する楽しみが、表裏を成しながら、次代の写真文化を育てる基盤をつくりあげようとしている。

作家によるギャラリートーク
7月5日(土) 15:00~16:00

メディア

スケジュール

2008年06月10日 ~ 2008年07月21日

アーティスト

細江英公

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