ギャラリー・カウンタック佐々木健はインスタレーションやヴィデオ作品制作を経て、現在は絵画に集中している。なぜ今絵画なのか?「ディテールを一度に見せることができるから」と作家は答える。確かにその絵は筆を動かしながら、ディテールをひとつひとつ丁寧に確認する作業を経て成立したかのように描きこまれている。そして、そこには絵画の在り方の原点を見ることができるのである。
今回の出品作《Score》は卓上の音響機材を描いたものである。暗黒を背景にして積み上げられた機材。うねりながら幾重にも垂れ下がるコード。機械なのにまるで生きているかのようになまめかしく、我々を異様な世界へと誘う。ドラムセット、手榴弾、アイスピック、パグ犬・・・選ばれているモチーフはどれも〈日常〉のどこにでもあるというものではなく、そこから少しずつ距離を置いた事物であることが特徴的である。その描写された世界の中では、工業製品はあたかも生き物のように振る舞う一方、犬は〈生〉をどこかで剥奪されている。こういったパラドックスを抱えた作品たちは、現代社会の有り様の写し鏡のようでもある。一見突き離しながらも最終的には受け入れているような、対象に対するなんともいえない距離の取り方。それが作家固有の世界の見え方の結果として、作品の中に通低していることこそが、その絵画を独自なものとしている。
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