DIC川村記念美術館モーリス・ルイスは、1912年にアメリカの首都ワシントンD.C.に程近い港町ボルチモアに生まれました。地元の美術学校を卒業後、一時はニューヨークで活動しましたが、31歳で地元に戻ってからは、主にワシントンD.C.を制作の拠点としてきました。絵画講師のかたわら、自宅の小さなダイニングルームをアトリエとし、妻が仕事で外出している時間を、ひとり黙々と絵画制作に費やしたのです。
物静かで内向的、しかし創作に対する熱意を人一倍秘めていたルイスは、ポロックやロスコら同時代の画家が活躍するニューヨークとはあえて距離を置き、淡々と独自のスタイルを摸索しました。そんなルイスが、その後の美術の流れを変えることとなる画期的な作品を描き始めたのは1954年、41歳の時でした。それらは人の背丈をはるかに超える大きなカンヴァスに、薄めた絵具を幾層にも流し重ねた抽象画でした。まるで美しい染物のように、絵具がカンヴァスに染み込んで一体化し、完全に平面的な画面が生まれたのです。その後、画家は1962年に亡くなるまで染みの形や色の配列を違え、この手法を探求し続けました。
本展は、ルイスが遺した作品のうち、三つの主要なスタイル〈ヴェール〉〈アンファールド〉〈ストライプ〉を中心に15点前後が会する、日本では20年振りのルイス展です。
[画像: 「金色と緑色」 (1958) 東京都現代美術館 ©1958 Morris Louis]
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