TARO NASUコーネリアス・クォーベックは1974年ドイツ生まれ。ロンドンのStephen Friedman Galleryや ニューヨークのFriedrich Petzel Galleryでの個展で注目を集める若手ペインターだが日本での本格的な紹介は、今回のTARO NASUでの個展が初めてとなる。
今回展示されるのは、アクリル絵具によって自由奔放に描かれたアメリカンコミックを彷彿とさせるペインティング約15点。モチーフとなるのは、クォーベック自身が生み出した架空のキャラクターたちである。
クォーベックはこれまでロックスターやハリウッド女優、動物など 誰もが知っているモチーフを意識的に選び、描いてきた。新聞、レコードジャケット、本、アニメや漫画などの印刷媒体からイメージの源泉を見いだして 消費社会のアイコンでもあるそれらのモチーフの、大衆性そのものがたたえるアウラを表現してきた。
しかし、クォーベックは近年新たな試みとして そういった既存のイメージの複製から作品を出発するのではなく自らが創りあげた想像世界の人物たちを描くことに挑戦しはじめている。
それは彼自身の言葉を借りていえば 「フィクションの物語を紡ぎだす小説家たちのような」試みなのだ。
今回の個展のためにクォーベックが選んだのは、過去2年間のあいだにつくりあげた これらの独自のキャラクターたちが主人公となる作品群だ。
展示される作品の「正しい」組み合わせは、鑑賞者の想像力によって、いかようにも変化していく。 鑑賞者の視点が変われば、作品が紡ぎだすストーリーそのものが変化する。キャンバスのなかに登場するキャラクターたちは あるときはヒーローに、そしてあるときは悪者へと姿を変えていく。
定まったテキストのない壮大な物語の行方は、 まさに鑑賞者であるわたしたちのほうに委ねられているのだ。
[画像:Cornelius Quabeck、「Home at the Pole」 (2008) Acrylic, airbrush on canvas]
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