DARIUS 「De l'encre à la lumière」

マキイマサルファインアーツ

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アーティスト

DARIUS

ダリウスと墨との出会いは、10年前の日本旅行に遡る。墨という素材が持つ多様な表現の可能性、墨の透明性、墨がもたらす光の戯れに圧倒されたという。主として書家の作品を通じて墨に触れたわけだが、ダリウスは、日本の文字を知らず、書道を実践したこともない。そこで、自分なりのやり方で、墨という素材の新しい使い方を模索しようとしたのが原点である。

雑巾、料理用のへら、ワイパー…。筆よりも抵抗力のある「固い」道具を使えば、画家と素材の間で取り交わされるエネルギーが大きくなる。隠れていた世界が驚くほどの普遍性を持って顕現する。そして墨の飛沫が屈曲するところや、よりコンパクトな二つの塊の間から光がかすかに漏れてくる。

初めは墨だけを使っていたダリウスだが、その後、墨よりねっとりした印刷用インキを使用してみたところ、マチエールやオイリングの素晴らしい効果をもたらした。最近は、油絵具を墨に混ぜて使うようになった。この技法によって紙との新たなる相互作用が生まれ、光やマチエール、躍動感の面で目を見張る効果が得られている。

しかし、ダリウスの作品にはもう一つ、驚くべき側面がある。それは、作品を拡大写真で引き伸ばしたときに観察できる、不可思議で神秘的な世界である。一見したところ純粋で画一的に見える墨は、その内側に全く想像もつかないような宇宙を秘めている。

我々も気づかなかった墨の力を、ダリウスは教えてくれるだろう。

-三光洋（パリ在住・美術評論家）

スケジュール

2009年7月17日(金)〜2009年7月29日(水)