クリストファー・バックロー展

エモン・フォトギャラリー

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クリストファー・バックロー・1957年、マンチェスター生まれ。英ヴィクトリア&アルバート美術館(V&A)の学芸員の経緯を持ち、写真・ドローイング・絵画・インスタレーションとその表現スタイルは幅広い。中でも1994年から開始したシリーズ作品"GUEST"は、ピンホールカメラの原理を応用し太陽を写した“光の肖像写真”として国際的な評価を受け、現在も美術館のみならず様々な層からの支持を集めている。また、テートギャラリー・ロンドンからコーンウォール(Cornwall)で2009年に観測される皆既日食に合わせたインスタレーション制作を依頼されたアーティストとして(もう一人はジェームス・タレルだった)、家ほどのサイズのカメラ・オブスキュラを岬に作り上げ、皆既日食時の光で撮影を敢行したプロジェクトは今日でも語り継がれている。コンテンポラリーフォトの中でも異彩を放ち、新ロマン主義をルーツとするバックローの作品は、メトロポリタン美術館、MoMANY、V&Aなどの主要美術館でコレクションされている。

写真は光画と呼ばれることがあるが、バックローの作品は、光の点を集めて描かれたまさに“光の点描画”である。バックローのスタイルは、カメラで像をハンティングするのではなく、無数の光の点を直接印画紙に焼き付けてイメージを描き出す。モデルとなる人物のシルエットを等身大でデッサンし、それを巨大なアルミホイルに転写した後、その輪郭内に2万5千個ものピンホールをあけ、その針穴から印画紙に直接太陽光を感光させるのである。
ひとつひとつの針穴を通して2万5千個もの「太陽」が一点の作品に刻まれていることになるが、その数は、聖書にある人間平均寿命70年の間に巡ってくる太陽の回数(=25000日)を象徴したものだという。

印画紙に直接オブジェを置いて光を当てるレイヨグラフを作ったマン・レイ。ガラスや水を使い印画紙に光を写し取ったギャリー・ファビアン・ミラー。アダム・フスやスーザン・ダージェスも同じくカメラレスワークを編み出した作家の一人である。バックローの場合、精神学的アプローチから自身の多様性と向き合い絵画的作品へと昇華させた点からも「フォト・ドローイング」の新たな次元を確立させたといえるだろう。バックローは少年の時に見た木漏れ日が地面に無数に太陽の像を投影するピンホール現象は、作品づくりのヒントになっていると語っている。オーラのような揺らぎと独特な光彩を放つシリーズ作品は、そのコンセプトを知らずとも日本人の心に秘められたアニミズム的な感覚を呼び覚まさせ、私たちは自然と命の尊さや人間存在の意義を感じ、理解するのではないだろうか。
シリーズタイトルの"GUEST"は、バックローの深層心理と無意識の領域にある「夢」に現れた彼の家族や友人、知人といった訪問者である。好意・敵意・愛・尊敬。周囲を取り巻く人々に対する様々な感情や思いを俯瞰で自己観察し、フロイトの「夢の登場人物=自身のある一面を鮮やかに映し出す現象」と位置づける事で、登場人物がいつしか自身の一部となる。"GUEST"は外的要因を軸としたセルフ・ポートレイトだ、とも作家は云う。

バックローの東京初個展となる本展では、荒々しく線を走らせて描いた近年のドローイング作品も同時に出展されている。シリーズ"GUEST"の写真作品が光であるならば、これらのドローイングはバックローの影のパートにあてはまるだろう。冬の夜、街路を華やかに照らすクリスマスイルミネーションが色とりどりに瞬くこの時期に本展覧会は開催される。“光の肖像写真”とドローイング作品で構成される本展が私たち日本人の心にどのように語りかけ、響くのかとても楽しみなエキシビションとなりそうである。

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スケジュール

2009年11月28日 ~ 2009年12月25日

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