このたび、吉峯和美の1年半ぶりとなる個展を、京橋のギャラリー「ASK? art space kimura」にて開催いたします。 風景画か、それとも色面の構成か。吉峯は、具象と抽象の境界を往き来しながら、一つのイメージを立ち上げます。天と地を思わせる画面の二分割は、冬の荒涼とした大地、あるいは嵐が迫る海原のようにも見えるでしょう。「Ground」と題された一連の絵画は、吉峯が辿った道程で偶然現れた自然の姿を映し出し、刻々表情を変える大地と、大気の粒が舞い降りてくるかのような空によって、画面の均衡が保たれています。それは、19世紀の北方ロマン主義の画家、フリードリヒの荒々しい自然の猛威に立ち向かう人間の存在や営為のはかなさを表す絵画を彷彿とさせるといってもいいでしょう。一方で、遠近法から解放された平坦な画面構成は、20世紀半ばのアメリカ抽象表現主義の絵画の文法を受け継いでいるとも見ることができます。