日本に内在する「版画文化」をテーマに、作家有志によるユニークな構成で企画された「版画再考」(2001年)、「版画を読む」(2004年)につづく第三弾です。初回展の計画時から10年、版画をめぐる状況はますます混沌としてきました。そこにデジタル化の波や、経済的環境の影響を見ることも可能でしょう。しかし、この企画ではそのような社会を反映する美術作品という視点を少し置いて、浮世絵で開花した「版画文化」の土壌に着目し、「版」や「型」という、不思議な存在や、紙に版を圧着させ刷りとることで得られた刷物への感性に現れている、日本文化の特性とその可能性を考えることに関心が向けられています。本展覧会に出品される全ての作品は「リトグラフ」。
一口に「リトグラフ=石版画」といっても、重い石版石を版として使ったものから、薄い金属のアルミ版や、半透明フィルムなどに描いて転写するPS版、コンピュータ操作とインクジェットを併用したものなど多用な変遷を見せてきました。一方では素材や複雑な製版技術の継承が危ぶまれてもいますが、元々リトグラフは描画に筆やクレヨンを使い、重版による豊かな色彩表現やドローイングによる自由な描線など、絵描きの版画として、絵画的方法に最も隣接するシンプルな版種なのです。この展覧会では、絵画と版画制作をつなげる、世代を横断する作家28人がそれぞれの色を選び、その色を起点として制作された作品や本の形態による作品が出品されます。リトグラフの多彩な魅力をお楽しみください。
ギャラリートーク (会場:文房堂ギャラリー)
「対話:野見山暁治×加納光於」
5/30(日)14:00-16:00 聞き手:渋谷和良、山口啓介
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