「A.D.79 古代ローマの美術」展

タグチファインアート

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タグチファインアートでは、人間の本質的・根源的欲求から生み出された美術を、時代や地域にとらわれずにご紹介するシリーズを「The Human Condition」と題し、機会あるごとに展覧会をおこなっております。「ジャガーの子どもたち」、「RESPECT」に続き、3回目の今回は「A.D.79」です。

紀元前1世紀にユリウス・カエサルとオクタウィアヌス(初代皇帝アウグストゥス)によって建設されたローマ帝国は、広大な領土と多様な民族・文化を擁し、東西に分裂するまで約4百年の間繁栄を誇りました。そうした繁栄の基礎が築かれた帝国初期の文化遺産や遺構を、当時に近い姿で私たちが見たり知ったりすることができるのは、ティトゥスが皇帝に即位して間もない紀元79年8月24日におきたヴェスヴィオ火山の噴火という大惨事によるところが大きいとされています。

火山礫よって地中深く封じ込められたポンペイは18世紀半ばに発見されましたが、その発掘によって明らかにされたのは、首都から遠く離れた一地方都市においてでさえ、上層階級の人々の生活水準・文化水準が驚くほど高かったということです。そこではアポロやウェヌス、イシス等のギリシャ神話やローマ神話、あるいはエジプト神話に起源をもつ神々を祭った多くの神殿が建設され、バシリカ、広場、劇場、浴場、街路などの公共建築、貯水槽や水道設備などの公共施設が整備されていたのです。こうした建築には数多くの大理石の記念像が設置されていました。住宅や別荘は漆喰塗りのレリーフや色鮮やかな壁画、モザイクの床、また先祖たちや神々の彫像で飾られ、獅子や鶏などの動物や悲劇の仮面で装飾されたテーブルや燭台などの調度品が置かれていました。庭園を備えた住宅もありました。人々は金や銀で作られた食器、ガラス器、青銅器、光沢のある陶器でブドウ酒を飲み、豪華な魚介料理を食するなど、食生活も大変豊かでした。女性たちは香油や化粧品をいれたガラス小瓶を周りに置き、金や銀、真珠でつくられた宝飾品を身にまとっていました。

こうした繁栄がヴェスヴィオ火山の大噴火で一瞬のうちに消滅してしまったという事実に象徴されるように、どんなに栄えた文化や文明も永遠に続くことはなく、いつ消え去るかもしれない儚いものです。骸骨や頭蓋骨のモチーフを調度品や食器に盛んに用いたローマ時代の人々は、彼ら自身、饗宴の最中にそれらを見て命の儚さと忍び寄る死について議論するのを好んだことが知られています。

文明は滅び人の死は避けられませんが、人間が作ったもの、なかでも美術品はそれがたとえ断片であっても残り、後の世に伝えられていきます。今回展示されるフレスコ壁画、石像、ブロンズ像、ガラス、宝飾品など約50点の古代ローマの遺産をご覧頂き、当時の人々の暮らしや思想に思いをめぐらせ、そこで美術品の力をあらためて感じて頂けましたなら幸いです。

[画像:「ヘルメース」 (A.D.1C) ブロンズ 11.6 x 4.7 x 3.9 cm ]

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スケジュール

2010年03月06日 ~ 2010年04月03日

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