ショウケース / メグミオギタギャラリー 西山裕希子は2003年に京都市立芸術大学院美術研究科を修了し、工芸的手法と絵画的モチーフのパターンを組み合わせた新しい画面を作り出しています。その表現に注目が集まり、2010年にはVOCA展で入選しました。
西山は自己と他者の心理的な距離が曖昧で複雑な現代において、「『私』とは何なのか」を問いかけ、自分をとりまくあやふやな境界を人物の輪郭で表現しています。それは「物語」を一つの切り口に、個人の記憶や、眼前で起きている事への気付きを誘い、今私達が生きている世界を映し出す鏡のような作品を生み出しています。
このようなテーマを表現するために、西山は主に布に写真や寓話的なモチーフの図柄をパターン化したものをプリントし、その上に染料を蝋によって防染するという独自の手法で制作をしています。線を描く部分を残して、蝋をたらし、その隙間に染料をさしていくこの方法は、蝋を落とすまで描かれた線の形をはっきりと確認出来ません。それは、曖昧な境界を辿り、人物の輪郭に置き換えてゆく行為と共通しています。近作は西洋のヴィーナスやディアナ、寓話的な糸を紡ぐ女性などをモチーフとした捺染プリントの図柄を背景に、女性像を描いています。西山は絵画的なモチーフである女性像を、工芸的技法でモチーフをパターン化して壁紙のような図柄へと転換し、その上に中国や日本の伝統的モチーフであり、女性特有の文化に深く関わりをもつ飾り結びを描く事で、東洋西洋の括りだけでない新しい表現を試みています。
現代に生きる私達の精神の動きを冷静に見つめ、その繊細な距離感や関係性を再現する、西山裕希子の作品にどうぞご期待下さい。
[画像: 西山裕希子「支度」(2009)染料、蝋による防染、シルクサテン、パネル、椅子 50 x 53 cm]
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