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ジョン・ルーリー 「YOU ARE HERE」

ワタリウム美術館
終了しました

アーティスト

ジョン・ルーリー
『お前、俺のこと元気だと思ってるだろう?2、3年前は本当に死にそうで、今でもたまに意識が空中をフワフワ浮いてしまうんだ。』
2009年1月6日、マンハッタン、ソーホーの外れのスタジオでの会話だ。2年ほど前に出版された作品集を見てからジョン・ルーリーの絵に魅了され、半年間彼とメールのやりとりをした。結局、もっと本物の作品を見たくてNYに飛んだ。

ジョン・ルーリーといえば、1984年のジム・ジャームッシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で俳優として圧倒的な存在感を示し、私の周りでは『誰だ、こいつは?』という噂が一気に広まった。その直後に、本人が呼ぶところのフェイク・ジャズ・バンド「ラウンジ・リザーズ」も来日し、一部の熱狂的なファンを得るにはさほど時間がかからなかった。そういえば当時青山で行われたライブのあと、取り巻きたちを引き連れたルーリーが深夜の暗闇に消えていったのを思い出した。

私にとって彼の絵は、その音楽や俳優といった表現を遥かに凌ぐ衝撃だった。難病を患ったあとの彼は、音楽も俳優活動も中止し、一人で好きな時に出来る絵を描くことが唯一残された表現方法になった。発表はしなかったが、80年代から、ジャン・ミッシェル・バスキアなどと一緒に描いていたというだけあって、その構図や技法は信頼できるものだ。
 
ルーリーの絵からは、伝統的な風景画のようなものであろうと、夢の中のワンシーンであろうと、いつも視点に、ジョン・ルーリー自身を強く感じることができる。日常の出来事が私たち人間に対してではなく、空に存在している何者かに向けて、絵日記のように描かれている。そこに戦略的な意図は、全く感じられない。ルーリーのネジ曲がったり、絡まった意識や思考でさえも、そのままストレートに私の心の中に入ってくる。

そんな彼の絵を見ていると、何故かつらいことや不条理なことが多い世の中だけど、きっといつの日にか、お金や名声、政治や経済、環境問題といった視点ではない不思議な風景や事柄に出会えると信じてみたくなる。

和多利浩一 (ワタリウム美術館)

スケジュール

2010年1月30日(土)〜2010年5月16日(日)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日
月曜日が祝日の場合は開館
年末年始は休館
入場料一般 1200円、大学生・高校生 1000円、小学生・中学生 500円、70歳以上 900円、障害者手帳提示 700円、付き添い1名 1000円
展覧会URLhttp://www.watarium.co.jp/exhibition/1001john/index.html
会場ワタリウム美術館
http://www.watarium.co.jp/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
アクセス東京メトロ銀座線外苑前駅3番出口より徒歩5分、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩8分
電話番号03-3402-3001
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