BLD Gallery今年の2月に90歳の天寿を全うした写真家・杵島隆の追悼の意を込めて、杵島隆と加納典明の二人展「SCANDAL extra」を開催します。
杵島隆は広告写真のパイオニアとして広く知られていますが、戦後期には、それと並行してヌードをモチーフとした作品制作を行なっていました。ヌード撮影のほとんどはゲリラ的に野外で行われ、中でも物議を醸し出したのが桜田門の前で撮影したシリーズ《桜田門》(58年)です。外界にオブジェとしてヌードを配置する芸術写真的な構図を持った作品は、当時の社会において政治的な側面がより強調されスキャンダラスな表現として物議を醸し出しました。それ以前にも《8月6日ピカドン広島》(45年)、《悪魔が長崎天主堂の天使を追い出した》(45年)、《黒い雨が降った》(46年)といった、政治的意図を明確にうちだし、時代を鋭く批評した作品を多く制作しています。商業写真と芸術写真という別のベクトルを持った分野において、常に注目を集め一線の活躍をしていた杵島の門を叩いたのが加納典明でした。
2年間に渡るアシスタント生活の中で杵島のアバンギャルドな精神を受け継いだ加納は、63年に独立。『平凡パンチ』のグラビアページを主な活動の場としてヌード作品を次々発表し、「“写真”はあくまで時代に物申し、切り裂く道具であり方法論」という独自のスタイルを確立します。69年、『平凡パンチ』のNY特集号のために渡米した加納は、取材後そのままNYに残り、人種も様々なモデルやヒップスターが集うオージー・パーティに潜入し撮影。当時のNYの気分を的確に撮し出したそのシリーズは《FUCK》と題され、帰国後に発表した本作によって加納は一躍名が知れ渡るようになりました。69年の発表時には、カラーで撮影されたものをモノクロ・コピーし、イメージを不鮮明にして展示した《FUCK》ですが、今回初めてオリジナルのカラー・プリントにて展示します。
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