原美術館(東京)「人類の衣服の歴史は人類の歴史そのものと同じほど古い」(杉本博司)ガブリエル シャネル、イヴ サンローラン、川久保玲など、20 世紀を代表するファッションを杉本博司がカメラの眼でとらえなおした「スタイアライズド スカルプチャー」シリーズを中心に、「装う」ことを問う。
杉本博司は、写真というメディアの本質を探究し、人間と世界の意味を照射する数々の写真作品で国際的に高い評価を受けています。日本語では「Photography」を「写真」と表記しているものの、デジタルメディア時代の今、写真画像の加工や修正はコンピュータ上で簡単にできるようになりました。しかし、杉本博司はデジタル時代以前に写真は虚構である事を見抜き、カメラの眼で世界をとらえる事によって、人間の眼の性(さが)を研究してきました。その精緻なモノクロームのプリントは透徹した思考と卓越した技術に裏打ちされ、他の追随を許さないイメージが鑑賞者を魅了します。
この展覧会は、ガブリエル シャネル、イヴ サンローラン、川久保玲など、20 世紀を代表するデザイナーによるファッションの数々を撮影した「スタイアライズド スカルプチャー」シリーズを中心に構成されます。「人類の衣服の歴史は人類の歴史そのものと同じほど古い」ことに着目し、「人体とそれを包む人工皮膚を近代彫刻として見る」という視点から制作したこのシリーズは、生身の身体を持ったモデルではなく、慎重に選んだマネキンを使って撮影されています。これは、人間にとっての衣服の意味、人間と衣服の関係を掘り下げる示唆的なシリーズとなっています。
このシリーズに加えて、他のシリーズ(「ジオラマ」および「肖像写真」)から選んだ写真作品が「ハダカから被服へ」という人類史的な軸を浮き上がらせます。さらに、杉本博司自身が演出を手がけた文楽の人形、デザインを手がけた能楽の装束、これまで収集した美術工芸品も織り込み、人間の身体と「装う」ことの意味を、杉本博司ならではの視点で読み解きます。
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