GALLERY SPEAK FOR写真の魅力とは、撮影者と被写体の関係性の質に帰結します。ファインダーの先にあるものが人物であれ静物であれ、語りかけの話法としてカメラを駆使し、優れた表現を形にしてきたのが中野愛子氏でした。画家の絵筆や詩人のペンのように、そのプリントからはカメラというツールの痕跡が限りなくミュートされ、見る者は彼女と被写体との密接なコミュニケーション劇に目を奪われます。その身軽な写真術は、90年代半ばの女性写真家ブームを大きく膨らませる役割を担いましたが、当時のスピリットを鮮烈なまま受け継ぎつつ、現代美術的なパフォーマンス力も援用してたくましく展開させているのが彼女です。
本展は、中野氏が2009年から撮り続けている「月刊シリーズ」を一堂にコレクションするものです。ヘアメイクアップアーティスト貴島タカヤ氏とともに月に一回のペースでその月のイメージや記念日をテーマに撮影。有名無名を問わず様相の異なる人々が招かれてモデルとなり、中野氏によってハレとケの両面を写し取られています。スタイリストや服飾デザイナーなど友人たちとのコラボレーションも活劇的シチュエーションを生む源泉となり、映画的な魅力を付与しながら中野流の写真話術の面白さを効果的に伝えています。
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