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田中秀和 「Chaospective」

児玉画廊|白金
終了しました

アーティスト

田中秀和
今回、そのドローイング制作を通して解析した自身の手法を再度ペインティグへと還元させる試みを見せています。全面を幾層にも覆ってきた重厚なレイヤーは影を潜め、フラットな下地に簡素な線描が間合いを計るように配され、そこへ絵具のドリッピングが偶然を装うかのように重ねられています。こういった簡潔に徹した表現でありながらも、田中のこれまでの作品がそうであったように音楽的な律動感や記号的な整然とした美しさ、運動性や身体性が作家の意図を離れてそのままフォームに変換されたような筆触、色彩や線の強弱/濃淡によってシンプルにコントロールされた遠近感や前後関係といった空間性、それらの特徴が全て包括されつつも、過不足のない、更に充足した印象を見るものに与えます。

田中にとって、抽象表現とは常に認識との対峙であり、イメージとは何か、フォームとは何か、時に記憶や感情、空間や時間、自意識や存在そのものについてまで思惟を広げ、必死に掴み取らねばなりませんでした。その軌跡が、初期におけるあくまで二次元的な範疇での「抽象化」作業から、線描や色彩の重なりによって空間性を獲得して三次元的意味構成へ、そして「連続性」という時間軸を得た現在の見地へ、という一連の変遷に見られます。それをもう一巡り咀嚼し直すことで何が見えてくるのか、今回の作品にはそうした新たな地平に客観的に身を置いてみたような意図的なものを感じます。

「Chaospective」というタイトルからも、そのようにして自らが構築してきたものを一度解体し、等価に投げ込んだ混沌(Chaos)とした状態へ立ち返ることで、次に自分が絵画として表現しうる更なる上位次元の何たるかを見通す(Perspective)べく、自らに新たな挑戦を課そうという姿勢を読み取ることができるでしょう。

スケジュール

2012年3月3日(土)〜2012年4月7日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
会場児玉画廊|白金
http://www.kodamagallery.com/
住所〒108-0072 東京都港区白金3-1-15 1F
アクセス東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅より徒歩8分
電話番号03-5449-1559
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