エスパス ルイ・ヴィトン東京1960年代のメディアアート、ポップアートのパイオニアとして名高いバイルレは、自身のキュレーションを通じて、会場をミニマルでありながらどこかユーモラスな空間に仕立てました。本展示でのバイルレの目的は、都会の雑踏と喧騒の中で、あえて密閉されたミニマルなインスタレーションを創り出すことでした。エスパスルイ・ヴィトン東京の「ガラスの箱」を、ある種のユーモアを維持しつつ、神秘的な空間へと変化させることを意図しました。
展示会場の中央に置かれているのは、本展のための新作、『Conducteur(指揮者)』です。スチールの支柱に設置されているのは、この作品の為に制作されたワイパーです。そのアームはリズミカルに動き、まるで本展全体を指揮する指揮者のようです。そして、その前に広がるのは、2012年、『ドクメンタ(13)』でインパクトを与えた巨大作品『Carmageddon(カーマゲドン)』の一部です。ボール紙で作られた、何百もの自動車道から成るフィールドをより近くで見ると、交通渋滞が日々いたるところの車道を覆い尽くしていた時代の名残を表現しているかのように見え、来場者は、過ぎ去りし時代の遺物と向き合います。
同様のボール紙製のグリッドに印刷された3つの山の風景は、著しく増加する交通量の影響をますます受けているスイスの3つの山を表しています。そして、このオブジェに隣接する壁に掛けられた、形の歪んだオブジェは、激しく大破し、折り曲げられた自動車道の一部と、ひしゃげられた廃車の残骸です。映像作品、『Sunbeam』の上映によって時折中断されながらも、エリック・サティが1917年に作曲した「家具の音楽」と、それに混じる車のワイパーの原音で構成されたミニマル・ミュージックのコラージュが、延々と展示空間に響き渡ります。
本エキシビションで、バイルレは、それぞれの作品を通じて、連続性、動作、音、リズムの対話を生み出すことにより、彼の作品にとって、マシーンと自然の関係性がいかに大切であるかを表現しています。また、交通量の増量による自然破壊や事故といった、一見陰鬱なテーマを扱いながらも、それらをどこかユーモラスに表現しているのも、バイルレの作風の特徴であると言えるでしょう。
[画像: ©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat, Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo]
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