新井卓 「百の太陽に灼かれて」

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新井は写真黎明期の技法であるダゲレオタイプ(銀板写真)を使って表現する数少ない写真家の一人です。本展は、「核」をテーマとし、近年制作を続けているダゲレオタイプの作品を展示いたします。
2008年に渡米した時にサンフランシスコで購入したMichael Lightの「100 Suns」(1945年から1962年、地下実験以前の核実験を記録した写真集)と、2010年に着手したプロジェクトのコアになる第五福竜丸。この二つが大きなきっかけとなり、「核」をテーマに作品制作を続けています。
「100 Suns」を手にした時、そこに捉えられた核爆発の光景は超越的で、美しくさえ見え、おそらく芸術は、これほどまでに神々しいものを作ることはできないだろう、という思いを抱いたと言います。2010年に参加したプロジェクトで、第五福竜丸に通うようになり、様々な史実を知り、核という問題が過去のものではないと考えるようになりました。このプロジェクトは三軒茶屋のスペースKENが主催したもので、当初「Before and After Exposure」というタイトルで2011年4月に展覧会を開催の予定でした。そんな折りに3月11日の東日本大震災が起こります。混乱した状況の中、プロジェクトを中止するかどうか、メンバーの間で議論になったと言いますが、結局、タイトルを「EXPOSE 死の灰」に変え展覧会と一連のイベントが開催されました。
「僕たちの世代は、漫画、アニメや映画の中で核戦争の後の世界観を日常的にみていたし、特に生まれ育った川崎は、今と比べ物にならないほど環境汚染が酷かった。毎日のように光化学スモッグ警報があったし、多摩川はヘドロと異臭で、子供ながらに地球はもうダメだ、と薄々感じていたのを覚えている。」「だからこそ、福島第一原発の事故後の世界はなんだか既視感があるのかもしれない」と1978年生まれの作者は語っています。
第二次世界大戦、日米同盟、冷戦、原発、核実験、核保有。広島と長崎の原爆から69年経つ今でもなお、核にまつわる様々な事柄は人類の目の前にあり、これらの事柄を無視することはできません。人類が生み出したものでありながら、人類が抱えていくにはあまりにも大きすぎる核という存在。新井は、それを写真家という個人が、個別的体験として噛み砕いていくことは可能だと信じ、希望を持ちながら制作を続けています。
ダゲレオタイプという方法でモニュメンタルに写し出す作品はひとつの問題提起であり、また、作品を作ることは芸術や美が、目に見えない巨大な存在に挑戦することでもあると気付かせてくれます。

メディア

スケジュール

2014年07月25日 ~ 2014年09月20日
夏期休廊: 8月10日(日)〜 8月17日(日)

アーティスト

新井卓

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