「曖昧な関係」展

メゾンエルメス

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エルメス財団は世代や国籍、表現方法の異なる3人のアーティストの作品を通して、作品と身体の間に生まれる関係性について考察するグループ展を開催します。作品制作において結ばれる無数の素材とアーティストとの身体的関係は、私的な対話や束縛や支配など、我々の日常生活におけるやり取りとも共通しています。
スイスのジュエリー作家ベルンハルト・ショービンガーは、身につけることを前提とするジュエリー制作を通じて、身体の物質性、その強さと弱さと欲望を忠実に描き出します。割れたガラスなどのファウンド・オブジェを使ったジュエリーは、自由で大胆不敵なフォルムで我々を誘惑します。愛や権力に結び付けられ、欲望の対象であり続けた装飾品が、身体の不在によって初めてその有用性を謳歌するように、そこには主従の曖昧な反転がみられます。
フランス人の画家、アンヌ・ロール・サクリストは、絵画表現の領域を問い続けています。ルネッサンスの頃、遠近法というテクノロジーを手に入れた絵画は、作者の視点を観客側へと移行させました。その後、カメラの発明や映像表現を経ても、私たちは未だ物理的に画面の中に入ることはできません。カンヴァスの消失点に導かれ佇む両義的で曖昧な場所にこそ、私たちは魅了されつづけているのでしょうか。本展でサクリストは、15世紀にパオロ・ウッチェロが描いた『サン・ロマーノの戦い』に見られる詩的で幾何学的な抽象性を京都の石庭に重ね合わせ、室内と外や部分と全体の移ろいやすく相対的な関係を浮かび上がらせます。
ベルリン在住のアーティスト、ナイル・ケティングは光波や音波といった不可視のマテリアルをベースに、シグナルや香りといった現象を新しい物質性の感知やコミュニケーションへと置き換えてゆく試みを行います。イタリアの思想家マリオ・ペルニオーラの「エニグマ」を引用しながら、「モノ」化してゆく人間を貫く態度としてパンクカルチャーの「未来のなさ」や「何も感じないこと」に共鳴します。極めて私的なインスタレーションでは、近未来的な身体と物性、そして新たな公共性の知覚を提案します。
しかし、造形表現において、物質性(マテリアリティ)は作家によって選ばれ、物性(フィジカリティ)として再発見され、制作の過程で相互に刺激しあい、やがて自律し拡張してゆく越境的な関係を紡いでいます。作品と身体の対峙を、独自に生成させる3人のアーティストの表現を通じて、オブジェと身体と空間の曖昧な共犯関係をお楽しみ下さい。

メディア

スケジュール

2016年12月21日 ~ 2017年02月26日
臨時休館:2016年12月31日~2017年1月2日

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