フォトグラムというのは、カメラを用いず印画紙の上に直接物を置いて感光させるなどの方法により制作された写真作品のことを言う。個人的には、シュルレアリスムの試みのひとつとしてマン・レイが制作していた一連の作品(レイヨグラフと言われていた)をすぐ想像してしまうのだが、ウェリングの作品は、作家の思惑を半ば離れて自動生成された作品というよりはむしろ、巧みに造形や色彩を操り構成したものと言えるであろう。プリントは光の7原色で行ったというが、赤・黄系統の柔らかい色彩と、フォトグラムとしては驚くほど繊細に得られた濃淡が非常に美しい。
展覧会のタイトルは大胆にも「New Photographs」とされているが、それを裏切らない、新しくも成熟した試みであった。
Makoto Hashimoto
Makoto Hashimoto