Alternative Rooms

先週、art & river bankで開催されたラウンド・テーブル「alternative rooms」にコア・コメンテーターという立場で参加してきましたので、主観的に偏った内容になってしまうことをお断りしつつ、簡単にレポートを書いておきたいと思います。

にある
にて

3人がこれを見たいと思っています。
2人がこれをオススメしています。

開催意図については、art & river bank杉田氏のステイトメントをぜひご確認いただきたいですが、要約すると今日の「オルタナティブ」と呼ばれる空間や活動が増えつつある状況の情報交換と検証を行い、またそこで用いられている「オルタナティヴ」の意味を懐疑的に問い直すといった内容でした。また、ラウンド・テーブルという形式がとられ、ゲストをコア・コメンテーターと位置づけていることからも分かるように、パネリストのディスカッションを通してひとつの答えを導くというよりは、参加者(≒コメンテーター)の意見もすくいながら、情報交換や問題の共有しようという点が重視されました。

とはいえ、杉田氏のステイトメントはある程度の答えを意識したもので、大筋では現状を的確に捉えていますのでそれを意識したディスカッションになったと思います。美術関係の「当事者」には面白い内容だったのではないでしょうか。

まずは、コア・コメンテーターそれぞれの立場から、自らの活動とそれらが周囲より「オルタナティブ的」だとされていることについて議論が重ねられました。実は、今回集まったメンバーのうち、自ら「オルタナティブであること」を積極的に名乗っている人はいません。

これは、既存の美術館やギャラリーの対象とならないような表現のための場の名称として70年代アメリカで使われ始めた「オルタナティブ」という言葉が、現在に至っては完全にひとり歩きをしてしまっているという現状をよく現しています。「美術館やギャラリー的ではないもの」を指し示す便宜的な言葉として「オルタナティブ」が用いられるようになってしまっているのです。

しかし、「ひと言では説明のつかない活動」を「オルタナティブ」と称することで理解を得られやすいということはあると思います。そうした現状の認識を共有できたということは、同様に「オルタナティブ的」な活動をされている方には重要だったはずです。

議論は発展し、大いに参加者の関心をひいたのが、近頃「オルタナティブスペース」を称したスペースの運営をはじめた美術館が出てきたというトピック。体制側が「オルタナティブ的」な要素に注目し、それを取り入れたはじめた例です。

本来「オルタナティブでない」正統を扱ってきた美術館が「オルタナティブ」を扱うのであれば、その必要性や美術館なりの意味づけをしなければならないし、ネーミングについても慎重になった方が良いのではないかといったような意見が飛び交いました。

これらの意見の背後には、予算削減に追われる美術館のとる政策が、単なるホワイトキューブからの「逃走」に終わって欲しくないといった願いが込められていたように思います。

個人的にはこれらの議論を非常に楽しむことのできた2時間でしたが、あくまで「日本」における「現状」についてフォーカスした内容になりましたので、海外の状況との比較をされたかった方や、日本に限定してでもそうした活動が一気に広がったと言われている70-80年代の状況などを歴史として考察されたかった方、それらを含めた予備知識に乏しかった方やそもそもアートとはあまり関係のない活動をされている方には不満の残るものだったかもしれません。

もう少し突っ込んだ内容を私個人のBlogの方に掲載してありますので、もしご興味をもたれた方がいらっしゃいましたらぜひご覧ください。

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto. 1981年東京都生まれ。横浜国立大学マルチメディア文化課程卒業。ギャラリー勤務を経て、フリーのアートプロデューサーとして活動している。主な企画展にReading Room (BankART Studio NYK/2005年)、都市との対話(BankART Studio NYK/2007年)、The House「気配の部屋」(日本ホームズ住宅展示場/2008年)など。2006年11月より横浜ベイクォーター内 「ギャラリーBOX」の作品展示をP3 art and environmentの芹沢高志と共に企画・制作。また、TABの他にポータルサイト「AllAbout アート・美術展」 「REALTOKYO」、雑誌「BT/美術手帖」「ARTiT」「美術の窓」などでもアート関連記事を執筆している。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimoto[AT]diacity.netまでお気軽にどうぞ。 ≫ 他の記事

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