公開日:2007年6月18日

「magical art life – あるコレクターの世界」展

業界では著名なコレクターの方が保有する、現代美術コレクションを集めた展覧会。まずはその展示数に圧倒される。ドローイング、ペインティングなどの平面、マルチプルなど立体作品が種類別に分けられて、展示室の壁を埋め尽くしている。

DSCN4067_s.jpg
DSCN4067_s.jpg

メインの展示室では、ペインティングの大きな作品が中心に扱われていたが、正に「壁を埋め尽くす」様に、中には他の作品と重ねられるようにして並べられていて圧巻。ライティングは暗く、怪しく点滅しているので決して個々の作品を鑑賞するのには適した展示方法ではないが、コレクターの倉庫を探訪しているかのような雰囲気味わえた。確かに、コレクターによる展覧会であれば、美術館やギャラリーと同じような見せ方をすることばかりが正解ではない。作品は既に「我が物」であるから、ちょっとくらい強引な展示方法をしてもきっと大抵の作家は許してくれるだろうし、変にかしこまって「陳列」されるよりも面白いはずだ。

DSCN4077_s.jpg
DSCN4077_s.jpg
DSCN4071_s.jpg
DSCN4071_s.jpg

一方で、マルチプルなど小品の立体が集められた展示室ではライティング自体はしっかりとされており、展示の資料で作品と作家名を照らし合わせながらゆっくりと楽しむ。ここにも著名な作家の名前が並ぶが、作品は美術館やギャラリーではなかなか展示されていない類のものが多い。

なぜなら、その多くが「展示するため」というよりは、「コレクションするため」に制作された作品だからだ。例えばギャラリーでは、必ずしも展示している作品だけを販売しているわけではなく、それとは別に、より小さく持ち帰りやすい作品や、コレクターのための特別な作品を扱っている。

というわけで、トーキョーワンダーサイトには、我々一般人がなかなか見る機会のない類の作品が、大量に展示されています。コレクター気分を味わいたい方は、迷わず渋谷へ!

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto

1981年東京都生まれ。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。 ギャラリー勤務を経て、2005年よりフリーのアートプロデューサーとして活動をはじめる。2009〜2012年、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)にて「<a href="http://www.bh-project.jp/artpoint/">東京アートポイント計画</a>」の立ち上げを担当。都内のまちなかを舞台にした官民恊働型文化事業の推進や、アートプロジェクトの担い手育成に努める。 2012年より再びフリーのアートプロデューサーとして、様々なプロジェクトのプロデュースや企画制作、ツール(ウェブサイト、印刷物等)のディレクションを手がけている。「<a href="http://tarl.jp">Tokyo Art Research Lab</a>」事務局長/コーディネーター。 主な企画に<a href="http://diacity.net/">都市との対話</a>(BankART Studio NYK/2007)、<a href="http://thehouse.exblog.jp/">The House「気配の部屋」</a>(日本ホームズ住宅展示場/2008)、<a href="http://creativeaction.jp/">KOTOBUKIクリエイティブアクション</a>(横浜・寿町エリア/2008~)など。 共著に「キュレーターになる!」(フィルムアート/2009)、「アートプラットフォーム」(美学出版/2010)、「これからのアートマネジメント」(フィルムアート/2011)など。 TABやポータルサイト 「REALTOKYO」「ARTiT」、雑誌「BT/美術手帖」「美術の窓」などでの執筆経験もあり。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimon0413[AT]gmail.comまでお気軽にどうぞ。 <a href="http://www.art-it.asia/u/hashimon/">[ブログ]</a>