公開日:2007年6月18日

TABの2周年記念パーティを振り返って

10月9日(月)体育の日に、東京アートビートは六本木のスーパー・デラックスで、設立二周年を記念してパーティーを開催しました。TABチームは各自運営に忙しくて、誰一人として、レポートを一人で書けるほどパーティーを見渡すことができなかったので、このエントリーはライター、エディターのみんなで振り返って書くことにしました。

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準備 (Ashley)

何気なく配られる小さなもの達の裏にも、いろいろな苦悩があるのです。パーティーで、ナッツとか、M&Mが入っている小さなコップを手にしたみなさん、そのコップがみなさんのところに届くまでに、実は色々な思惑が注がれていたことをほんの少し想像してください。
パーティーの一週間前、TABオフィスにて。会場の装飾の仕方について、配布するお菓子の色にTABカラーであるピンクとブルーを取り入れるべきか、ちょっとした議論が行われていました。M&Mの中に、ピンクとブルーのものはあっただろうか?あるとしても、誰がその分別作業をするのか?彼らはご褒美として残りの色のM&Mを食べてもいいものだろうか?そして、もし一つのパックにつきピンクとブルーのM&Mが少ししか入っていない場合、一体全部でM&Mのパックはどれだけ必要なのか?結論としては、M&Mを色で区別するのは辞めることになったので、全色食べらることにしました。そのかわり、ピンクとブルーは、ところどころで配った蛍光のブレスレットで演出することにしました。

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左:並んだM&M、  右:VJの練習

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1st Quarter (Lena)

時計の針が午後7時を指した時、最初のお客さん達がドアの前に集まっていました。M&Mや音量の最終チェックが完了したところでKosukeが手をあげ、パーティーはついに開始。そこから数時間、ありとあらゆる国籍、アクセント、形、サイズのアート愛好者が何百人も入ってくることとなりました。会場が埋まってくると、新作Tシャツの一つをデザインしてくださった高橋信雅さんがライブ・ドローイングを開始。グラフィティがプロジェクターによって壁一面に映し出されました。バーとDJブースの間のスペースを陣取り、高橋さんはリクエストをどんどん受け付けました。その目玉は、老人と芸者のコミカルなイラストレーション。DJ Codomoがパーティーを盛り上げる中、会場の熱気で、これから訪れる素晴らしい時間の予感がしていました。

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高橋信雅さんのライブドローイング、その中の一つ:おじいさんと芸者

一つ目のプレゼンテーション (Ashley)

壁一面に投影するプロジェクターを使い、PaulとKosukeが最初のプレゼンテーションをはじめ、TABの新作Tシャツを披露しました。もうご存知だと思いますが(ですよね?)、TABは最近、シーズン2のラインアップを発表しました。デザイナーは高橋信雅、assistant、Tomato、PMKFA、そして束芋。各Tシャツの素晴らしいデザインを解説しながら、PaulとKosukeはそれぞれのアーティスト・デザイナーの過去の作品をみせながら、彼らの活動の幅の広さを紹介しました。それから高橋信雅さんが自己紹介をし、assistantの松原慈さんがスピーチをして、assistantTシャツを購入した最初の五人にロンドン土産のスウェーデン・チョコをプレゼントすることを約束。最後にくじ引きの当選発表をして5人のラッキーなお客さんがTシャツを受け取り、プレゼンテーションは終わりました。

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左:自己紹介をしている高橋信雅さん、
右:TAB Tシャツをデザインしてくれたassistant

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Tシャツの販売 (Aneta)

二時間目に突入して、チームは交代でカウンターにまわり、Tシャツの販売を始めました。「Tシャツ屋」は会場内に設置されていたので、パーティーを楽しみながら新しいデザインについてお客さんと語る感じで、私は10時から二時間ほどシフトに入りました。それまで、デザイン・販売に直接関わっていなかったのに、いつのまにか参加デザイナーに関する知識がばっちり身についていて、お客さんにデザインについて解説をし、遊び心を持って平凡な仕事を楽しみました。

2nd Quarter (Ashley)

私はTシャツ・カウンターと受付のシフトの合間に、くつろいでパーティーをエンジョイしていました。こんなにたくさんのTABの友だちと一緒に二周年記念のお祝いができて、本当に素敵でした。会場は、アーティスト、デザイナー、建築家やスーパー・デラックスの常連でいっぱいになっていました。ここニ年間で、TABは東京中のギャラリーと関係を築いてきました。今夜は、美術館の方々、ヴァイスフェルト-レントゲンヴェルケ、ワコウ・ワークス・オブ・アート、中落合ギャラリー、MOTT gallery、ギャルリー・ジュイエなどたくさんのギャラリーのオーナーや関係者が足を運んでくれました。

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二つ目のプレゼンテーション (Lena)

パーティーが本格的に盛り上がってきたところで、PaulとKosukeが二つ目のプレゼンテーションをはじめ、TABの構成や活動について発表しました。アクセス数が一日に150,000にものぼるTABは、Diesel, Pola Museum, Esquire Magazine等、ビッグネームの広告を掲載しています。特に人気のあるフィーチャーは、MyTAB、ユーザーのレビュー、TABブログパーツ、RSSフィード、TAB Videoを含むTABlogです。お客さんの拍手と声援に迎えられ、二人はこの二年間のハイライトを紹介しました: 2006年初めにco-labオフィスへ引越したこと、9月に行われた初めての展覧会(Firefox協賛のDIVVy/dual展覧会)のこと、今までPaulのトイレにあったサーバーがクラッシュしたため、現在はClaraが無料でホスティングをしてくれていること、TABが発信するコンテンツが再利用されNokiaやThe Japan Timesに掲載されていること。最後に、ウェブサイトをさらに良くしていくために、TABチーム(現在はスタッフ3人とボランティア15人)に加わる新しいフルタイム・スタッフの募集を呼びかけ、プレゼンテーションは終わりました。

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「DIVVY/dual」展で使用された「Type-Trace」ソフト

3rd Quarter (Lena)

プレゼンテーション後、Neohachiのパフォーマンスがスタートしました。Neohachiは、詩吟でアンビエント音楽をつくる女性アーティストの二人組みユニットです。そのゆっくりとしたテンポ、自然なサウンドと歌声は沖縄音楽を思い出させるもので、高橋さんのイラストレーションにぴったり合っていました。会場は、ワイワイとおしゃべりする声と笑い声でいっぱいになり、楽しい雰囲気に包まれていました。お客さんはアートを愛するクールな外国人と日本人が半々で、夕方を通して友だちを紹介したり・されたりで、みなさん、新しい友だちや機会を作っていました。早めに帰宅するお客さんはM&Mとドリンクをお腹に入れ、受付のTABスタッフに「ありがとう!」と満面の笑みを向けて、徐々に会場を後にしていきました。

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4th quarter (Aneta)

去年のTABパーティーで一番印象に残ったのは、ソロ・ミュージシャンのGame Boyでしたが、今年はEl Salvadores + Shunya Video Boyというバンドの一人として演奏してくれました。私はTシャツ・カウンターの番から少し抜けて、今夜最後のパフォーマンスを写真に収めることができました。
El Salvadoresの無調音は、ゲームボーイに仕掛けてあるアルゴリズムによって作り出されます。去年は、さりげなくスーパー・デラックスの真ん中に座り込んで改造したゲームをプレイして、最後まで残っていたお客さんから脚光を浴びていました。今年は似たようなパフォーマンスを見せてくれ、VJを含むバンドと共演していました。どこかに座って、ビジュアルと一緒に、バンドがつくりだす身体を切るようなサウンドを楽しめなかったのが、残念でした。

片付け、最後に (Aneta)
最後のお客さんが会場を去っていく中、私たちはカメラやラップトップなど持参した機材、スーパー・デラックスのスタッフは巨大な仮設テーブルを片付けていきました。入念に準備したM&Mはとっくになくなっていて、私たちはassistantの差し入れのチョコレートを分け合って、帰りのエネルギーを蓄えました。

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TABのメッセージ・ボードはお客さんのメッセージでいっぱいに

最後に、唯一の実体の成果物である高橋さんのグラフィティをまとめ、壁からメッセージ・ボードをはがして、ぶらりと六本木通りに出ました。
特別な夕方でした。特殊な機材があったからではなく、東京のアート・デザイン界を一緒に祝ってくれた素晴らしいDJやVJ、パフォーマー、アーティストのみなさんのおかげで。3連休最後の月曜日の夜にもかかわらず、すばらしい動員数でした。お花やワインを差し入れしてくれたみなさん、声援を送ってくれたみなさん、TABチームからのメッセージです:本当にありがとう!

(画像はTABのFlickr group poolより。和訳:佐々木朋美)

Aneta Glinkowska

Aneta Glinkowska

ポーランド生まれ。1996年にニューヨークに移住、大学と大学院を卒業。大学の科学の実験などは定期的に逃避し、代わりに毎日映画館に通い、ヴィレッジトライアングルのアンジェリカ・フィルム・センター、クウォッド・シネマ、シネマヴィレッジに入り浸っていた。映画館で過ごさなかった時間には写真を「創り」、ニューヨーク在住のポーランド人の写真家のグループと展示していた。大学末期、交換留学でパリに住み、そこでも$18月間映画パスを使いまくった。ニューヨークに戻って真剣に映画と向かい合おうと決心、MAプログラムでシネマスタディーズを専攻。卒業後またもや新しい都市、東京でアートと映画に関するライター・ブロガーとして働き、日々アートギャラリーを訪れている。