The Wonder Box─ユニヴァーシティ・ミュージアム合同展─

今展は、全国の大学/機関が研究や教育のためにこれまで収集してきた資料を一堂に集め一般に公開することで、文化資源としてのあらたな価値を見いだそうという試みである。今回は全国の国立大学博物館等協議会に加盟する37機関のうち25機関が参加した。

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「The Wonder Box」展

上野、谷中エリアにある
東京藝術大学 大学美術館・陳列館にて
このイベントは終了しました。 - (2006-11-04 - 2006-12-17)

In レビュー by Ayumu Saito 2006-12-11

動物、植物、人間、鉱物、工学、歴史といった6つのジャンルに分類された会場は、各機関ごとに資料が展示され、全体として小さなミュージアムのかたちをとり、展示品と解説パネルをたよりにそれぞれの機関による研究の来歴を辿ることができる。また、展示品は、東北大学の山内ピッケルと鉱石ハンマー、新潟大学の佐渡金山圖會、富山大学の伝統薬物の系譜といった地域の特徴が反映されたものが多く、そうした地域性の成立背景も知ることができる。会場となった東京藝術大学大学美術館は、「芸術資料の研究・保存・公開」を目的とし、1998年にその活動をスタートさせた。美術館が設立される以前は、付属図書館や芸術資料館がその役割を担っており、そうした活動の歴史をたどっていくと、東京藝大の前身である東京音楽学校や東京美術学校の設置(1887[明治20]年)よりもさらに古くまでさかのぼることができる。そういった意味でも、今回の展覧会は「資料の公開」として、この施設本来の狙いに合致したものととらえることができ、さらに全国から集めた展示品とあっては、それらを公開(むしろそこに必然的にともなう「配列」)することで、地方ごとの個別の歴史がある世界史へとつながることが期待される。

6つに区分され、左右対称に展開された展示会場の最奥スペースのテーマは「歴史」。その中心には東京藝術大学蔵の伝狩野永徳《松鷹図屏風》が配され、その佇む様は今展の歴史観/世界観のステイトメントのようでもあった。しかし会場全体がそうしたある理念に満たされていたといえただろうか。個々の事柄に思いを馳せながら、全体からもなにがしかの漂いを感ずることは可能と思えるのだが。

帰り際、はじめに会場入口で目にした展覧会名の由来ともなった言葉「驚異の部屋=Wunderkammer」を思い出した。16世紀後半、ローマ皇帝ルドルフ2世は世界中からの収集品をあつめた部屋をそう呼んだという。どうやらこの試みがその名にふさわしいかたちをみせるにはもうすこし時間がかかりそうだ。今回はまずはそこへ向かって小さな一歩を踏み出したことを記憶にとどめておこう。次回以降のさらなるWonderに期待したい。

Ayumu Saito

Ayumu Saito. Editor of Architect Magazine 1979年生まれ。編集者。大学卒業後、ギャラリーオーナーアシスタント、ウェブ制作会社アルバイトなどを経て、現在、編集事務所勤務。おもに、建築雑誌や美術関連ウェブサイトの企画・編集・制作をおこなう。 ≫ 他の記事

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