アンケート結果発表!
第1回: アートとライフスタイルの意外な関係?

TABを利用しているアートファン層とは?

In 特集記事 by TABインターン 2011-10-12

Tokyo Art Beatは、「今日のアート鑑賞の現状」を調査するために、2011年7月21日〜8月末日まで、日頃TABをご利用いただいているみなさまを対象にアンケート調査を行いました。
その結果、さまざまな立場でアートに関わっている 764名(うち男性239名、女性525名)もの方々からご回答をいただくことができました。ご協力いただきましたみなさま、本当にありがとうございました!

ここに集まった貴重なデータを元に、TABチームは、私たちアートファンの傾向と、今日のアートイベントのあり方を分析しました。TABlogでは、この調査結果を3回にわたって発表します。

●まずは結果を見てみよう!

インターネットを通じてTABを利用している人も、Tokyo Art Mapを片手に街を歩いている人も、TABを利用している「アート好きな人」って、どんな人たちなのか、気になったことはありませんか?

まずは、TABの利用者がどんな方たちなのかを見てみましょう!

●「おひとり」さま多し! 出会いは大切!?

美術館やギャラリーに足を運ぶと、家族連れや若いカップル、学生からマダムのグループまで、とてもさまざまな人たちでにぎわっていますが、今回のアンケート回答者は、若い世代が多かったこともあってか、多くの方 (82.2%) が「独身」でした。

そして、驚いたことに、なんと全体の6割以上の方が、アートイベントには主に「ひとりで」参加すると回答しました。「友人と」「恋人と」「家族と」と回答した方はそれぞれ1割前後と、「誰かと一緒にアートを見にいく」という習慣はあまりないという結果になりました。

さらに、足を運ぶ目的も、ほとんどの人(94.8%)が「知的好奇心」や「仕事や勉強」といった、自分への刺激のために参加していると回答しました。彼らのうち、「人に出会えるから」と回答した人はわずか1割未満、「友達・家族・恋人と一緒に過ごすため」と答えた人はたったの2%と非常に少ない結果に。これは「アートはあくまで個人で体験するもの」という意識が定着しているのかも。

しかし!

アンケートによると、実はアートイベントを通して出会いを求めている人が多いようなんです。

「Q. アートイベントには、作品鑑賞はもちろん、トーク・ワークショップ・オープニングパーティー等もあります。どのようなきっかけやメリットがあれば、もっと参加したいと思いますか?」

この質問に対し、なんと3人に1人が「新しい人に出会う機会になる」と回答しました。

これってどういうことなんでしょう?

■参加したいイベントについての自由記述回答を見てみると……
「来場者同士の交流ができる」(20代/女性/会社員・公務員)
「作家さんとの触れ合いがある」(20代/女性/アート・デザイン系学生)
「主催者やアーティストに会える場」(50代/女性/無職)
「ビジネスチャンスになる」(30代/男性/アーティスト)
「自分の活動の宣伝など、還元できると良い」(20代/女性/アーティスト)

なるほど、単に「新しい人に出会う」といっても、主催者やアーティストの方など、好きな展覧会をつくりあげた人たちと直接交流したい、という方が多いようです。また、興味の対象が似ている人たちと交流したい! という声も聞かれました。

だけど、普段ひとりで自分のためにアートイベントに参加しても、その感動を誰かと共有したくなるときってありませんか?皆さんはどうしているんでしょう。

上記の全体の統計に加え、さらに、「ひとりで」参加している人の 約9割 もの人が、直接もしくはインターネットを利用して何かしらの方法で情報を発信しているようです。発信スピードの早いTwitter利用者は75.5%も。詳細もじっくり書けるブログ利用者も4人に1人!

普段はクールに「おひとりさま参加」が当たり前でも、何らかの方法で「誰かと感想を共有したい!」という欲求は、皆さんもっているんですね。

●忙しいと言いつつも……やっぱりやめられないんです。

前述の「どんなメリットやきっかけがあればアートイベントにもっと参加しますか?」の問いでは、「出会い」の他に、もっとも多くの人(70.0%)が「行きやすい、参加しやすい時間帯の開催」を希望しました。
会社員、学生、アルバイト、とさまざまなライフスタイルをもつアートファンの皆さんは、平日は忙しくて帰宅が遅い方も多いでしょう。「行きたいイベントはあるけれど、気がついたら終わっていた……」なんてこともよくある話。

けれども、そこは熱心なアートファン!「時間帯が合えば、もっと参加できる」と言いつつも、実際にはなんと 8割もの人が「月1回以上」 アートイベントに参加していたんです。また、それは「気晴らし・リフレッシュのため」と回答した方も半数の50%。忙しいと言いつつも、やっぱりアートは皆さんの生活になくてはならないんですね!

Q.どのような目的でアートイベントへ行くことが多いですか?(複数回答可)
知的好奇心・刺激を求めて…93.3%
気晴らし・リフレッシュのため…50.0%
仕事・研究に役立つから…40.7%

つまり、月1回以上、何らかのアートイベントに足を運びつつも、時間さえ合えばもっとたくさんのイベントを回るチャンスがあるということ。これは、開館時間だけでなく、展示会期の長さやロケーションも関わってきますよね。

では、それらはどのくらい影響しているのでしょう?

イベント会場に求めることは、「夜遅くまで開館」(女性/20代/編集・出版・執筆系会社員)、「平日は残業が多いため、土日に行けることが必須です」(女性/30代/会社員)という声も。会社員などのフルタイムの仕事を持っている人の場合、時間的な問題が大きな障害のよう。そしてそれは作品を見る気分にも影響しちゃいますよね。

「土日に、渋谷でモネ展を見たとき、田舎出身の私にとってあまりの人の多さに衝撃を受けました。モネを見に来ているのか人の後頭部を見にきているのかわからなくなりました。今は学生だから平日に見に行けるけど、社会人になったら厳しいかなー とすこし寂しく思いました」(女性/20代/学生)

と思う方がいる一方、

「学生の頃、平日の午前中に東京国立博物館の常設展に行き、一人貸し切りで見ることができて本当に幸せに感じました。」(女性/30代/デザイン系会社員)

という方も。どんな空間で見たかは作品の印象さえも左右しちゃいそうです。せっかくの展覧会も、人ごみの中や閉館時間で焦りながらの観覧ではもったいない!

ともなれば、私たちのライフスタイルに適した時間帯のイベントがもっと出てきてもいいはず。ならばいっそのこと、平日は夕方からオープンして、夜間開館する会場がもっと増えてきてもいいのでは? これからは働く皆さんに優しいアートイベントが求められてきそうですね!

 

今回の結果、いかがでしたでしょうか? 一概に「鑑賞」といっても、時間帯や行動は人それぞれ。
どうやらアートイベントの参加は、その人のライフスタイルと大きく関係しているようです。

次回は、それらイベント参加に影響している要素を、さらに詳しく解読してみます。
影響要因がわかれば、今日のアート鑑賞の問題点も見えてくるかも!?

ぜひ、お楽しみに!

[執筆者]

杉山礼香:神奈川県出身。東京藝術大学大学院後期博士課程修了、アーティスト。在学中にロンドン芸術大学に交換留学、帰国後に博士号取得。留学中にヨーロッパの様々な展覧会やアートフェアを回り、アートと生活の関わりについて興味を持つ。大好きな熱帯魚に囲まれた部屋で、コーヒー片手に創作活動奮闘中。

TABインターン

TABインターン. 学生からキャリアのある人まで、TABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。3名からなるチームを4ヶ月毎に結成、TABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中! 業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、TABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

コメント

Instagram

人気記事

TABlogのそれぞれの記事は著者個人の文責によるものであり、その雇用主、Tokyo Art Beat、NPO法人GADAGOの見解、意向を示すものではありません。

All content on this site is © their respective owner(s).
Tokyo Art Beat (2004 - 2017) - About - Contact - Privacy - Terms of Use