公開日:2012年12月12日

アラブの街を舞台とするシャルジャ・ビエンナーレ11、来年3月に開幕!

【Art Beat News】長谷川祐子キュレーションにより、SANAAや坂本龍一、高谷史郎など日本人アーティストも多数参加が決定。

2013年3月13日から5月13日まで、アラブ首長国連邦の文化首都シャルジャで第11回目となるシャルジャ・ビエンナーレ11が開幕する。キュレーターに東京都現代美術館(MOT)のチーフキュレーター、長谷川祐子氏が抜擢され、国内外で早くも注目が集まっている。

古くイスラムの文化が根強く残るシャルジャの街にて、長谷川はイスラム式建築における「中庭(courtyard)」の存在に着目。プライベートな空間でありながら、パブリックな場所としても機能する「中庭」をテーマに、さまざまな人が行き交う新たな文化のランドスケープを作り出すことをコンセプトとした。また、会期1週目となる3月13~17日間には、中東・北アフリカ・南アジア地域における現代美術を取り巻く環境についてのシンポジウムなども開催されるなど、アラブ世界とアジアや極東地域、北アフリカ、ラテンアメリカなどの諸地域との関係を再考する場を創設する。

MAIDER LÓPEZ 《Football Field》2009

また、スタジオ・ムンバイやSANAAなど日本でも人気の建築家をはじめ、インターナショナルに活躍する建築家たちが手がける大掛かりな仮設空間にも注目したい。期間中、街の随所に出現する新しい文化施設は、土着の文化といかなる接合を結ぶのだろうか? その答えは、それぞれの建築家たちが提案する多様な「中庭」の姿から発見することができるだろう。

Laurent Grasso 《The Wider the Vision》the Narrower the Statement, 2009 Photo : Plamen Galabov

参加アーティストは、それぞれが生まれ育った文化に深い関心を抱き、その背景を探る活動に積極的に関与する人々に的を絞ったキュレーションとなっている。そうした個々の文化知識を持ち寄ったアーティストが中庭に集結することで、それぞれのバックグラウンドとアラブの街に色濃く残る文化が折り重なり、新たな異種混合の文化体系が浮かび上がることが期待される。表層的な文化消費が進む欧米型のグローバル化を超え、新たな文化横断の姿がアラブの地から始まることだろう。

■シャルジャ・ビエンナーレ11(Sharjah Biennial 11)概要
会期:2013年3月13日 〜 5月13日
会場:アーツ・アンド・ヘリテージ・エリア、シャルジャ、アラブ首長国連邦(Arts and Heritage Area, Sharjah, UAE)
主催:シャルジャ芸術財団(Sharjah Art Foundation)
キュレーター:長谷川祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター)
出展作家:サーダン・アフィフ、フランシス・アリス、
ティファニー・チュン、ヤン・フードン、ルナ・イスラム、ルシア・コッチ、スタジオ・ムンバイ、ナジール・ナスララ、エルネスト・ネト、オトボン・ンカンガ、ガブリエル・オロスコ、アイマン・ラマダン、
SANAA、ワエル・シャウキー ほか
日本人作家:オノセイゲン + 坂本龍一 + 高谷史郎、中谷芙二子 + 高谷史郎、井上有一、笠原美希、島袋道浩、占部史人
公式ウェブサイト

執筆:塚田有那

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