公開日:2013年8月15日

夏休み企画:あなたもメディア・アーティスト!? 大人の夏にも、自由研究!

夏まっ盛り。あなたもメディア・アートに挑戦してみませんか?

いま音楽や広告とのコラボレーションでも注目を浴びる機会の多いメディア・アート。展覧会で見ると、エレクトロニカルで格好よく神秘的な印象ですが、見ても仕組みは全くわからないし、素人には到底作れそうもない……と思われる人も多いでしょう。でも、これが作れたら素晴らしいですよね。

そんなあなたのために、今回は少しの工作とプログラミング※※で作れる、メディア・アートの作り方をご紹介します!
初級編から特別編まであるので、レベルに合った作品を選んでチャレンジしてみてください。
※主に電子工作。抵抗器などの電子部品や銅線を使って回路を作ったり、はんだ付けをします。
※※プログラミングとは、PCでプログラミング言語を打ち込んで、機械に動作の内容を記録させることです。


★★☆☆☆
【初級編】まずはじめは、これを買うべし!便利なスターターキット

キットの作品の一例「Color Mixing Lamp」。
キットの作品の一例「Color Mixing Lamp」。
DSCN1221 by hdaniel

メディア・アートを作るには、大きく分けて3つの工程があります。「①電子工作→②プログラミング※→③作品の仕上げ」です。
今回ご紹介するスターターキット「The Arduino Starter Kit」には、作り方のガイドブックや工作に必要な電子部品がすべて揃っているので、この工程がスムーズに進みます!(カッターやニッパーなどの工具類は入っていません。)

キットの中には、作品の心臓となるArduino(アルドゥイーノ)という小さなコンピュータや、ワイヤー、抵抗器、モーターなどが入っており、ガイドブック(英語)には15通りの作品例が載っています。チュートリアルや、キット概要も参考にして作ってみてください。

[用意するもの] The Arduino Starter Kit、工具類
[費用] 8000~13000円
[所要時間] 30分~1時間
(「The Arduino Starter Kit」はネットショップ(スイッチサイエンスなど)での購入が便利です。)


ここで……工具を持っていない方、必見情報!

制作の過程で必要になるのが、ハンダゴテやニッパーといった工具類ですよね。持っていないし、わざわざ買うのはちょっと……と思ってしまいますが、実は、工具などを無料で貸し出してくれる便利な施設があることをご存知ですか?
その名も「はんだづけカフェ」! 3331アーツ千代田の一角にひっそりと佇んでいます。利用時間も自由ですので、ふらっと立ち寄っていつでも工作できますよ。(電子部品は置いていませんので、各自用意して行ってください。)

 

★★★☆☆
【中級】手をかざすだけで電源をON/OFFできるおしゃれランプ

Luminch One by Francisco Castro

ここからは少しレベルアップして、キットでは販売されていない作品の紹介をしていきます。まずは、手の動きによって電源をオンやオフにしたり、光の量を調節できるランプです。
アルドゥイーノと、それに繋げられた「距離センサー」を使って、ランプの真上から手までの距離を測定します。手を横切らせればランプのオン/オフを切り替えることができ、手をかざしたまま上下に動かすと光の量も変化します!

制作の流れとしては、「道具と材料を用意→回路の組立て→プログラミング(サンプルあり)→ランプシェード作成→ランプの組立て」で、完成です。
作り方は英語のサイトですが、図が豊富なのでわかりやすいです。

[用意するもの] Arduino UNOUSBケーブル、電子部品(Webサイト参照)、トレーシングペーパー、工具類
[費用] 4000~5000円
[所要時間] 3時間
(電子部品はネットショップ(スイッチサイエンス秋月電子通商RSオンラインなど)での購入が便利です。)

ランプの概要。詳しい作り方はこちら

 

★★★★☆
【上級】プロジェクションマッピングでハイクオリティなヴィジュアル作品に挑戦!

mapamok操作中。左のリストから投影する模様を選び、デザインしていく。
mapamok操作中。左のリストから投影する模様を選び、デザインしていく。
Screen shot 2012-05-05 at 11.40.21 PM by Kyle McDonald
東京駅の復原完成記念などで注目を浴びた「プロジェクションマッピング」ですが、アプリケーション「mapamok」を使って簡単に作ることができます。「mapamok」は誰でも使用できるようインターネット上に無料で公開されているため、高価なソフトを買う必要もありません。

手順はこのようになります。
[投影対象を配置・測量→プロジェクタ設置→3Dモデリングソフト「Google SketchUp」を使い、投影したい物のモデルを作成→プロジェクタ – 投影対象間の調節→投影する色や模様の決定(サンプルあり)] といった段階を踏み、プロジェクションマッピングを行うことができます。

[用意するもの] mapamok、Google SketchUp、パソコン、プロジェクター、デジカメ
[費用] 0円
[所要時間] 3~4時間

詳しい作り方はこちら

 

★★★★★
【特別編】視線だけで絵が描ける「EyeWriter2.0」

背景に見えるのは、Tempt1がEyeWriterを使って描いた作品。
背景に見えるのは、Tempt1がEyeWriterを使って描いた作品。
EyeWriter by urban_data

いくつか作品を紹介してきましたが、それでは満足出来ない方、もっと挑戦したい方にはこちらをご紹介します!

「The EyeWriter」は、ALS(筋萎縮性即索硬化症)で身体が麻痺したアメリカのグラフィックアーティストTempt1のために作られた、目の動きだけで絵が描けるマシンです。2010年には文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞しています。これに使われるソフトウェアも、同じくインターネット上に無料で公開されているため、自由に制作が可能です。

EyeWriterの仕組みとしては、顔の前に設置された2つの赤外線カメラが瞳孔の位置を逐一探し出し、絵を描写するといったものです。制作にはかなりの工程を踏む必要があるので、自信の無い方は、アルドゥイーノを扱ったことのある人や、電子工作に慣れた経験者と一緒に作ることをおすすめします。

完成図。PCの中心に設置されたカメラが、人の目を検出。
完成図。PCの中心に設置されたカメラが、人の目を検出。
EyeWriter by Scott Beale/Laughing Squid
大まかな流れとしては、「必要な道具やソフトウェアを用意する→アルドゥイーノへプログラムを書き込む→赤外線カメラを作る→電子回路を作る→カメラを固定する台座を作る→ソフトウェアの設定、微調整をする」となります。
難易度は高いですが、展覧会などでも度々紹介されるほど注目されている作品なので、間違いなく作り甲斐はあると思います。是非挑戦してみてください。

[用意するもの] Arduino UNO、USBケーブル、電子部品(パーツリスト(PDF)参照)、デジカメ、統合開発環境(IDE)、openFrameworks、カメラ用ドライバ、台座の材料、工具類
[費用] 5000円
[所要時間] 1〜2日間

詳しい作り方はこちら

 

 

 

 

 

[TABインターン]
北堀あすみ:理工学部の大学生。ジェネラティブアートの予測できない美しさに心打たれ、アートと科学技術の融合に興味を持つ。美術館巡りやファッション、クリエイティブなことが好き。大学では生体情報をビジュアル化してコミュニケーションを取る方法を研究中。オーケストラでファゴットを吹いていることも。

TABインターン

TABインターン

学生からキャリアのある人まで、TABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。3名からなるチームを4ヶ月毎に結成、TABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中! 業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、TABlogでも発信していきます。