「トスカーナと近代絵画」展フォトレポート

伝統と革新の融合!イタリア近代絵画の魅力に迫る貴重な展覧会

poster for Arte italiana di Otto e Novecento da Palazzo Pitti a Firenze

「フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス」展

新宿エリアにある
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2013-09-07 - 2013-11-10)

In フォトレポート by TABインターン 2013-09-24

現在、損保ジャパン東郷青児美術館では「トスカーナと近代絵画」展を開催中です。イタリア近代絵画の隠れた名作約70点が展示されています。
イタリア近代絵画は日本でまとめて紹介されたことはありませんでしたが、古代ローマ時代からの積み重ねによる絵画の伝統を受け継ぎながら、当時としては革新的な技術を取り入れており、その融合がとても魅力的です。

トスカーナ州(州都フィレンツェ)といえば、ルネサンス芸術(14-16世紀)が花開いたことで有名ですね。ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなど、数々の巨匠を生み出しました。ルネサンス期以降、芸術の中心がフランスに移ってからも、多くの芸術家がトスカーナで活動し、近代に入ってからも多くの画家たちの手によって新たな表現が模索されました。

しかしイタリア近代絵画と言われても、なかなかイメージしづらいかもしれません。実は日本で名の知られている画家は少なく、美術館や画集でもほとんど作品が紹介されていないので、見るチャンスが非常に限られているんです。イタリアにあるすばらしい近代絵画のコレクションがこれだけまとめて日本に来るのは、今回が初めて。ふだんお目にかかれない作品ばかりを集めた貴重な機会です。

それでは、19世紀〜20世紀の約100年の間に、どのような作品が生まれたのかのぞいてみましょう!


こちらの《アトリエ内のモデル》は、アトリエでモデルにポーズをとらせるという伝統的な方法をとりながら、あえて後ろ姿を描いており、少々反抗的だった画家の性格がうかがえます。また、大胆な筆さばきと鮮やかな配色が目を引きます。のちに分割主義(※)の画家として、人物と背景が溶け合うような風景を描いたノメッリーニの若き日の小作です。

※ 1880年代後半〜1900年代初頭の北イタリアを中心とする流派。絵具を混ぜずに色を並べて置くことで光を表現しようとした。


こちらの《物思いに耽る女性》という肖像画は、宗教画によくあるポーズと構図が聖母像を思わせます。しかしフラットな空間表現が近代的で、背景は幾何学的に見えます。人物と建物がみごとに調和していて、ポスト印象派(※)の影響を感じさせます。肖像画を得意としたコステッティによる「近代のモナ・リザ」とも呼ぶべき作品です。

※ セザンヌやゴーギャンなど19世紀末の天才画家たちの総称。詳しくはこちら

ロザイの《山と農家》という風景画は、シンプルな表現が素朴な印象を与えます。その一方で、うねる曲線と暗い色彩は、悪夢の中のような不穏な空気を醸し出しており、画家の心理状態を代弁しているかのようです。ロザイは当時最先端だった未来派(※)を経験したのち、初期ルネサンスの画家マザッチョに傾倒しました。

※ 現代の機械文明を賛美する20世紀初頭の芸術運動。詳しくはこちら

 

このほか、カルロ・カッラの未来派以前の静物画、ジョルジョ・デ・キリコとその弟アルベルトの作品など、イタリア絵画ファンにはたまらないマニアックな展示もあります!

イタリア近代絵画の魅力は「伝統と革新の融合」。斬新な技法を取り入れつつ、過去の巨匠たちの影を感じさせる人間味ある作品がたくさんあります。アカデミックなものからアヴァンギャルドなものまで、多彩なラインアップをじっくり鑑賞しながら、ぜひイタリア近代絵画の知られざる魅力を探ってみてください!

[TABインターン]
稲葉詩音:東京大学大学院表象文化論研究室所属。学部生時代、留学先のイタリアで数多くの美術品に感動し、独学で美術史を学ぶ。現在はイタリア近代絵画を研究中。語学が好きで10ヶ国語以上かじったが、世界に羽ばたくより猫とまったり暮らしたいインドア派。

TABインターン

TABインターン. 学生からキャリアのある人まで、TABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。3名からなるチームを4ヶ月毎に結成、TABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中! 業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、TABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

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