GLOBAL PHOTO COLLABORATIONS by VICE JAPAN

展覧会のメインビジュアルを手掛けるアスガー・カールセンらに話を聞く

poster for Global Photo Collaborations by Vice Japan

GLOBAL PHOTO COLLABORATIONS by VICE JAPAN

渋谷エリアにある
DIESEL ART GALLERYにて
このイベントは終了しました。 - (2013-11-22 - 2014-02-14)

In Main Article 1 インタビュー by yumisong 2013-12-13

毒舌な文章と鮮やかな紙面で、タブーも恐れずカウンターカルチャーに切り込むフリーマガジン『VICE』は、世界25カ国で配布され、ピックアップ率100%という圧倒的な人気を誇っている。残念ながら日本版の紙媒体は休刊となりオンラインメディアのみとなっているが、11月19日に限定でフォトイシュー(写真特集号)が発刊された。テーマは「コラボレーションズ」。各国から3名のアーティストが参加し、紙面全てがコラボレーションを実現するという珍しい構成だ。『VICE』が年に一度発刊しているフォトイシューは、毎号数日で無くなる程の人気。今回のフォトイシュー発刊に伴い、時に過激な反骨精神も見せてくれるファッションブランドDIESELが提供する渋谷のDIESEL ART GALLERYにて、雑誌展示と記録映像と写真展示を連動させた展覧会『GLOBAL PHOTO COLLABORATIONS by VICE JAPAN』 が、11月22日より開催。

参加アーティストは以下の通り、豪華なメンツだ。
Arvida Byström / Roger Ballen / Asger Carlsen / Petra Collins / Kim Gordon / Richard Kern / Sandy Kim / Maggie Lee / Ben Pier / Peter Sutherland / Synchrodogs / Fumiko Imano / 大橋 仁 / 小田島 等 / 加賀美 健 / 駕籠 真太郎 / KYOTARO / 小池 昌代 / 曽根 賢 / 題府 基之 / 田附 勝 / 中島 大輔 / 名越 啓介 / 新田 桂一 / 松藤 美里 / ルー ヤン / レン ハン

来日中のアスガー・カールセンとベン・ピアーに話を伺った。日本で彼らの作品を紙面以外で見れるのは今回が初めてなので、ぜひ会場に足を運んで実物を体験して欲しい。

アスガー・カールセンは1973年デンマーク生まれのNY在住のフォトグラファー。彼が写すのは、人間の形跡を残した肉の塊、それは何かの実験の結果生まれてしまったような想像上の塊…まるで都市伝説で語り継がれそうな、私たちの内面に住んでいるモノや人を、静かなモノクロームな雰囲気で描き出す。今回は、50年以上モノクロフィルムで、世界を詩を紡ぐように捉えることで現実を描き出すロジャー・バレンとコラボレーションを果たした。

ベン・ピアーは、1980年ミズリー州生まれのNY在住のフォトグラファー。スケートボードやバスケットボールなどストリートを軸にしたファッションセンスの高いユースカルチャーを扱い、企業の仕事も数多く手がけている。今回は、スケートボーダーやメッセンジャーを追ったドキュメンタリーで有名な、ベンと同じくNY在住でフォトグラファーでフィルムメーカーのピーター・サザーランドとのコラボレーション。

紙面全体がコラボレーションということだけど、どうやって実現したのですか?

アスガー:今回のVICEの企画に関係なく、ロジャー・バレンとは何年も前からコラボレーションしたいなと考えていたんだ。面識はなかったけど、彼のファンだったからね。彼も僕のことは知っていた。それである時、VICEの担当者にロジャーヴァレンと一緒にコラボしたいと考えているんだと話したんだ。VICEの担当者が、じゃあそれを実現しようと言ってくれて。僕たちだけじゃなく、フォトイシューの特集全体のテーマを「コラボレーションズ」にしようということになったんだ。ロジャーがコラボレーションを承諾してくれたことは、とても嬉しかったよ。

ベン:(遅れてやってきて)遅れてごめん、間違えて違うディーゼルに行っちゃって。道で出会った人たちにも、展覧会あるから見に来てねって誘ったのに!これじゃあ何も展示してないディーゼルに行っちゃうね(笑)。ここに居るアスガーと僕は友だちなんだけど、ピーター・サザーランドも友だちで。VICEから誰とコラボしたいかって聞かれた時に、まず、まっさきに出た名前なんだ。

アスガー:制作方法は、まず僕が写真をとってからロジャーに送ったんだ。ロジャーはその写真に、好きなように絵を書いたりとかコラージュしたりの加工をしてくれた。コラボレーションをどう実現するか、どんな方法で行うかという話し合いは特にしてなくて。それはとても自由度の高いコラボレーションだった。

ベン:僕はピーターと一緒に1、2週間話してみて、どういう風にコラボレーションしようか話し合った。その時にピーターは、木とか色々な素材にステッカーを貼るという作品を作っていたんだ。僕はそのアイディアがとても気に入った。だから色んな作品をステッカーみたいに、シートか何かで貼っていく方法を選んだ。しかもそれは僕やピートの昔の作品を使っていて、2人がステッカーを重ねて貼ることで1つの作品になって、別の見え方になる。まるで別の作品になるような。素材は、ちょっと馴染みのあるような、僕たちのファンが知ってる写真にして、それらを別の作品に仕上げていくっていうのがテーマになった。

今までの作品の制作方法では得られなかった、違う感覚を身につけましたか?

ベン:アメリカには穴が沢山あいた、メッシュ状のステッカーがあるんだ。それをバス全体に貼っていて、バスに載っている人からはメッシュの穴から外の景色が見えるし、バスの外からはバス全体がステッカーに包まれているような感じに見える。日本のバスもそうなのかはわからないけど、そのメッシュ加工してあるステッカーを今回は使ったんだ。写真の上から、ステッカーを貼ることで、写真の上から違う写真が見え、次の元性が生まれる。そうやって立体的なオブジェのような制作を、意図的にやって、それが面白い効果を生んだかなと。

アスガー:僕は自分の作品を作る時にすごく、コントロールしたがる傾向が強い。

ベン:そう。アスガーは一度作業に入ると7時間くらいパソコンから離れないんだ。

アスガー:例えば1作品に対して2年間くらいかけて作業をしたりする。長い時間をかけて、もっと良く出来ないかと追求して没頭して作業をしていく。それは、厳しく完璧主義という感じ。だけど今回はその方法を手放して、それにいろいろ相手にやってもらった。そういう風にあんまり時間的に執着しないことを今回は学べた。最終的にできた作品は、僕のテイストよりロジャーの作品のテイストの方が強いのかな。今回の作品はいつもより軽いテイストになっている。いかに短い時間の中で制作できるか、ロジャーの視点を考えて、顔や頭を残して作れば作業しやすいかなと思って残した。ロジャーが手を加えられるように作った。いつもみたいに彫刻的に、徐々に積み上げていくっていう手法じゃない。そういった過程を経ていないからこそできた作品で、だからこそ今までの僕の作品より見やすくなったのかなと思う。

今回の展示を、日本のみんなにはどんな風に見たり感じたりして欲しいですか?

アスガー:僕がVICEでコラボレーションの特集を組むきっかけになったから言っているんじゃないんだけど、一つの号全体がコラボだけっていうのは前代未聞だし、どこの媒体もやってないと思う。それは見どころの一つだと思う。こんなに沢山のアーティストが参加して紙面を彩ったのは、すごくエキサイティングだし、参加したアーティストにとっても、いつもの自分の作品とは違って、どんな作品になるのかわからないってところも見どころだと思う。いつもとは違ったテイストで、見たことない作品ばかりになったと思う。僕とロジャーの作品はこうやって展示されることになったり、フォトイシューも発刊されて、すばらしいことだよ。そしてそれだけで終わらずに、今度一緒に本を出すことになってるんだ。そして展示も一緒にする。つまり、コラボレーションはまだまだ続いていくんだ。例えば僕が彼にポストカードを送って、彼がそれを加工するとか、今度は彼も何か作品を送って、僕がそれに加工するとか。それって、すごくお互いにとっていい関係になってると思う。

ベン:そうだね。すごい楽しかったし、みんなもコラボレーションをどんどんやって欲しい。今回はピーターとやってわかったけど、今までは自分の作品に没頭して見えなくなってしまっていた所が見えたよ。そういった気付かされる行程がすごく多くて。誰かと一緒にコラボレーションすることって、面白かったし、インスピレーションも受けた。一人でやっていた対話みたいなものが、オープンになっていって、視野の狭さが広がっていった。それがすごく楽しかったし良い経験になったから、僕もこれからもコラボレーションを積極的にやっていこうと思う。

インタビューありがとうございました。

ミュージシャンのキム・ゴードンやイラストレーターの小田島等、アーティストのルー・ヤンなど、フォトグラファーの領域にとどまらないアーティストが参加している『VICE』フォトイシュー。
会場となる渋谷DIESEL ART GALLERYでは、アーティストのコラボレーション作品はもちろんのこと、アメリカで発刊された今までのVICE誌や制作に至った記録映像が、溢れんばかりに展示されている。またキャプションには、全てではないが作品の販売価格も印刷されており、作品や写真集を手に入れることも可能だ。もちろん「VICE」フォトイシューと展覧会の入場は無料。モニターでみるのも楽しいが、作品や紙面もこのチャンスに是非チェックしにきて欲しい。

yumisong

yumisong. ふにゃこふにゃお。現代芸術家、ディレクター、ライター。 自分が育った地域へ影響を返すパフォーマンス《うまれっぱなし!》から活動を開始し、2004年頃からは表現形式をインスタレーションへと変えていく。 インスタレーションとしては、誰にでもどこにでも起こる抽象的な物語として父と自身の記憶を交差させたインスタレーション《It Can’t Happen Here》(2013,ユミソン展,中京大学アートギャラリーC・スクエア,愛知県)や、人々の記憶のズレを追った街中を使ったバスツアー《哲学者の部屋》(2011,中之条ビエンナーレ,群馬県)、思い出をきっかけに物質から立ち現れる「存在」を扱ったお茶会《かみさまをつくる》(2012,信楽アクト,滋賀県)などがある。 企画としては、英国領北アイルランドにて《When The Wind Blows 風が吹くとき》展の共同キュレータ、福島県福島市にて《土湯アラフドアートアニュアル2013》《アラフドアートアニュアル2014》の総合ディレクタ、東海道の宿場町を中心とした《富士の山ビエンナーレ2014》キュレータ、宮城県栗駒市に位置する《風の沢ミュージアム》のディレクタ等を務める。 → http://yumisong.net ≫ 他の記事

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