「10万年後の世界で、未来人がまとう衣」とは。KYOTAROインタビュー

7年ぶりの個展『Clad in the Universe – 宇宙を纏う』で「宇宙平和」を願って描いた100点(!)の絵画を展示

poster for Kyotaro “Clad in the Universe”

KYOTARO 「CLAD IN THE UNIVERSE - 宇宙を纏う」

渋谷エリアにある
DIESEL ART GALLERYにて
このイベントは終了しました。 - (2017-02-24 - 2017-05-18)

In Main Article 1 インタビュー by Sayuri Kobayashi 2017-03-10

渋谷のDIESEL ART GALLERYが未知の光に満ちた新次元空間と化した。
KYOTAROといえば、繊細で綿密なタッチで目に見えない存在に形を与え、ファンタジックな世界を描き出す画家だ。今回のテーマ「10万年後の世界で、未来人がまとう衣」にある「10万年後」とは、どこから来たのだろうか。

新作の前に立つKYOTARO

「未来の文明を考えた時に、10万年後は誰にもわからないんだけど、時間軸でつながっていることは確か。想像上で10万年後まで意識が飛ぶと、凝り固まっている今の状況から無理やりにでも出ざるを得なくて、アイデアが断然変わってくるんです。そういう場をつくって描いていきました」

会場風景

これまでの主なモチーフは、擬人化された動物、妖精、幻獣といった非現実的なものだったが、最近は「量子など物理的なもの」にも関心があるという。ミクロの物質、コンピューター上の仮想空間、音、電波、光など、目には見えないが確実に存在しているであろう要素を主体に描いた。そして10万年後にチャンネルを設定した今回は、未来の人間と、それが纏うさまざまな衣服を描いている。

「通信機能は普通についているでしょうね。メールのようなコミュニケーションがコンピューターを持ち歩かなくてもできる。あとは気体や液体、光でできたものがあって、『今日は雲着てくわ』みたいなことになる」

左:《思考運動ヘルメット》 右:《スペースタイムレディ》

《「最適可能性」創作スーツ》、《次元空間回復シールド》などSFと言ってしまえばそうだが、昨今の技術の進歩と彼女の高い描画力によって、あながち単なる空想に思えないものもある。そこに描かれている人間たちは、肌の色はさまざまだがいずれも柔らかそうな唇が印象的で、どうやら女性のようだ。

「人間って男性性と女性性の両方を持っているものですが、今回は女性の部分を抽出してまとめました。男性と女性は代わりばんこに交差しあって助けあって進んでいってるのかなと妄想したりして。10万年後には性別や人種などももっと混じってくると思いますけどね」

KYOTAROの本名は青木京子。アーティスト名を男性の名前にしたのは、男とか女とかの性別に関係のない視点から作品を見て欲しかったからだと言う。

「幼稚園生の頃に地元京都の動物園に生まれたゴリラが京太郎という名前で、『将来なにか機会があったら京太郎を名乗ろう』と思ったんです。『KYOTAROと呼んで』と言うと、女性も男性も関係なく仲良くなれるので、こりゃいいなと名乗ってきました。ニュートラルな存在になって、自由に表現できる場が生まれるという感覚です」

そうした場の探求は幼い頃、父が持っていた絵本との出会いからだった。

「わりと変わった子どもだったと思うんですけど、とにかく人との関わりが苦手でした。そんな時、アラン・オルドリッジ(ビートルズのジャケットなどで知られるイギリスの画家)の絵本『The Butterfly Ball and the Grasshopper’s Feast』と出会いました。動物たちがサイケデリックに描かれ、擬人化された昆虫や動物の姿に魅せられてしまったのです。それ以来、子どもがてらに生き方が変わったというか、楽になったような気がしました。変わった子どもだったと言われても仕方がないですね。(笑)」

大きな作品の他に小作品が所狭しと壁に並ぶ

2003年の作品《The Baby Shower Story 誕生祝賀会に全員集合》ではオルドリッジの絵に影響を受け、地球上の様々な動物たちを描いた。今回は宇宙という、よりメタな次元を舞台に、未来の人間像を描いたわけだ。

「宇宙を一つの家族をとして想定して考えたところからアイデアが出てきて、そのアイデアを実行するとみんなが幸せになる。そんな次元づくりを目指しました」

KYOTAROは鉛筆によるモノクロのドローイングでよく知られるが、今回はモノクロを基調としながら淡い色を使ったペインティングも並んだ。

「今回、鉛筆画を最初に制作し始め、並べ始めると1枚描き終えるごとに世界観がどんどん膨らんでいきました。イメージでの鉛筆画のみだと硬い印象になるだろうということで、ペンティングのような次元の作品がこの場に必要だと思いました。実際に鉛筆画を制作する間に最終的に描くペインティングの具体的なイメージが生まれていったという感じです。ペイントの作業の時には練りに練られていたので、迷う必要なく解放されるような印象の次元で、制作に集中できたかと思います」

キュレーターはコンテンポラリーアートギャラリーでの勤務を経て、インディペンデントに展覧会の企画、プロジェクトマネジメントなどを手がけるYu Murooka。その「無彩色に近いイメージ」というオーダーも考慮しながら、揺るぎないKYOTAROならではの世界を出現させた100点の渾身作。それらは未来から強い光を放ち、現在の日常までも照射し、私たちを理想郷へと導いてくれるようだ。

《龍の次元を着る》 <br> KYOTARO作品には珍しい、偶発的な絵具の飛び散りが見られる。「これまで採用してこなかったのですが実はこういうのが好きなんです。集中力が増すとペインティングの絵の具も自分の置きたいところに収まってくれます。良い絵を描くために、より集中できる環境が必要でした。京都という生まれ故郷で規則正しい生活をする中で制作できたことは良かったと思います。」

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■展覧会概要
タイトル:Clad in the Universe - 宇宙を纏う
会期:2017年2月24日(金)〜5月18日(木)
会場:DIESEL ART GALLERY
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F
電話番号:03-6427-5955
開館時間:11:30〜21:00
休館日:不定休
キュレーション:Yu Murooka(Higraph Tokyo)
http://www.diesel.co.jp/art

Sayuri Kobayashi

Sayuri Kobayashi. 雑食系編集/ライター。ヴェネチア・ビエンナーレ、恐山、釜ヶ崎のドヤ街、おもしろいものがあるところならどこへでも。 ≫ 他の記事

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