渋谷駅の声を聞くーPassage Tells: Shibuya再演決定! アーティスト・中澤大輔インタビュー

観客がミュージックプレイヤーを聞きつつ、渋谷駅を歩くプロジェクト

poster for Passage Tells: Shibuya

Passage Tells: Shibuya

渋谷エリアにある
渋谷駅にて
このイベントは終了しました。 - (2017-10-06 - 2017-10-15)

In インタビュー by oboko 2017-10-05

今年3月に行われた「Passage Tells: Shibuya」は渋谷駅構内が舞台である。スタート地点で渡されるヘッドホンとミュージックプレイヤーを持って、渋谷駅構内を巡る1時間ほどの少し孤独なツアーだ。というのも、目的地にむかって行き交う大勢の人の中で、少し立ち止まったり、まわりを見まわしたりして、どこかに向かうのではなく駅構内に留まって巡るという、どこか、全体から取り残されてしまったような感じになるのだ。
あっという間に予約がいっぱいとなった初演から半年、Passage Tells: Shibuyaは、10月6日から再演されることとなった。今回は、制作の中澤大輔さんに作品への想いを訊いた。中澤さんは、劇団カンパニー「ぺピン結構設計」のメンバーとして活動しながら、個人プロジェクトとしてPassage Tells Projectに取り組んでいる。

歩いているだけでは聞こえてこない「街の声」

美術館の展覧会に良く行く人にとってはオーディオガイドみたいで、少し馴染みある形式でした。
なぜ、このような作品の形式にしたのでしょうか。

中澤:街にはいろいろな歴史が蓄積されていて、目に見える街の変化というものの一方で、目に見えない部分、街を歩いているだけでは聞こえてこない街の声みたいなものがあると思っています。そのような声を聞いて、街の、いつもとは異なる風景が見えてきたらいいな、というのがありますね。音は視界を遮ることなく副音声のように、いつもの風景に加わり、それによって、いつもとは異なる風景が見えてくる、というのがおもしろいと思いました。
渋谷駅は、多くの人にとって通過する場所で、そこで働く人々はいるけれど、誰も意識して彼らを見ていない。大切な役割を担っているけれど、見過ごされている駅で働く人々に焦点を当てたいと思いました。

体験者は、一度再生し始めるとプレイヤーの操作ができず、聞こえてくる声の指示に従って進んで行く。側から見たら、駅を利用している他の人となんら変わらないように見えると思うと不思議な感じでした。

中澤:音声を再生するために毎度画面ボタンを押すようにすると、画面見てしまう。地図があれば地図を見てしまう。音声ポイントにヘッドホンマークを設置すると、普段見えている風景とは異なるものになってしまう。普段見えている風景、普段の行動から逸脱してしまうのです。普通に歩いている中で、声が聞こえてきて、立ち止まれば、聞こえるし、足早に歩いてしまうと聞こえない。人の動きによって体験自体も変わってくるところがおもしろいと考えています。

音声の最後の言葉を聞いて、これは演劇作品で、体験者はその観客だったんだと強く意識されました。

中澤:渋谷駅劇場ではないですけど、普段の生活の中にも演劇的なことはありますよね。演劇という枠を広げていきたいという想いはずっとあります。限られた人が見に来る閉じた演劇ではなく、街の中に仕掛けるとか、柔軟にやってみたいと考えています。

その場所の見えない物語、見えない対立

作品の中で話されていることは「セリフ」なんでしょうか。

中澤:まず、駅で働いている人たちにインタビューをしています。あらかじめ、インタビューで聞くことを決めて、駅の中を一緒に歩きながら、お話を聞きました。その場所を見ながら、自由に話してもらいました。そこで出てきた話を分類、分析したりして、作品の流れをつくり、物語性を帯びてくるよう形にしていますね。音声自体は、インタビューしたものをそのまま使ったものと、もう一度話してもらって録音しなおしているものと両方あります。

聞こえてくる音に、電車の音とかも入っていて、ヘッドホンから聞こえる音と実際その場所にいる時、聞こえている現実の音が重なりあって不思議な臨場感がありましたね。

中澤:サウンドデザイナーさんと相談して録音場所を決めています。電車の音もいろいろ録ってそこから音楽をつくったりしていますね。

でも、この期間以外では聞けないんですよね、それも演劇らしさだとも思いますが、たまに聞き返したい気もします…

中澤:期間限定にすることで、そのとき、その場所でしか体験できないような、消えてなくなってしまう存在にしたいという意図はありますね、作品を体験した人にとって、その作品がない状態で、再び駅の風景を見たときに作品を思い出してもらいたいです。もちろん長期間になると機材のメンテナンスが大変というのもありますが。
また、駅のインフォメーションセンターでプレイヤー等を借りる、という形式にすることで、案内所で働いている人とも対面して欲しいと考えていました。

今回は再演という形でしたが、別の場所での続編や、今後はどのようなものを作りたいと考えていますか。

中澤:Passage Tells Projectは、また他の地域で引き続き展開していきたいですね。その場所の見えていない物語、見えていない対立、というものがあると作品にしたいと感じたりします。他にも、さまざまなものの仕組みがどのようになっているのか、とても気になります。それを作品にしたいと考えています。週の半分くらいはリサーチの時間にしています。例えば、ニュータウンの住宅地になる以前の森だったころの風景、土着信仰なんかが気になっています。

———–

人が語る「声」には書籍などの文字情報としてでは感じられないリアリティと臨場感がある。そのような中で、Passage Tells Projectは、その声たちを、ひとつの体験として、どのような形にしていくのか、その潜在的な可能性を感じさせる作品体験である。
確かに、普段はあまり立ち止まって見ることのない渋谷駅の改札や通路だが、鑑賞後にその前を通るとPassage Tells: Shibuyaの作品を思い出す。作品が、体験した人のパーソナルなものとして残るのである。

■公演情報
Passage Tells: Shibuya 追加開催
公開日:2017年10月6日(金)、7日(土)、8日(日)、13日(金)、14日(土)、15日(日) の6日間
開始時間:10時、11時、12時、13時、14時、15時、16時
所要時間:45分程度

集合場所:渋谷ちかみち総合インフォメーション
※東急渋谷駅地下1階コンコース。渋谷109 直結地下通路、ちかみちラウンジ付近
https://goo.gl/maps/pphTepsvfg42

対象年齢:15歳以上(未成年者は保護者の同意書が必要です)
チケット:事前予約制(無料)
※本作品は同時に体験できる人数が限られているため、Peatix上での事前予約が必要です。渋谷ちかみち総合インフォメーションセンターでの予約はできません。
公式ウェブサイト:
http://passagetellsproject.net/shibuya/
問い合わせ:pts-info@passagetellsproject.net

アーティスト:中澤大輔
音楽:北谷光浩
広報・コーディネー ター:脇屋佐起子
イラスト:葉其筠
ウェブサイト制作:葉其筠、古山亜人

主催:Passage Tells Project
助成:公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
特別協力:東京急行電鉄株式会社
協力:渋谷地下商店街振興組合、宮益町会、特定非営利活動法人明日の神話保全継承機構、株式会社渋谷マークシティ、株式会社東急百貨店、夏目守康、小澤慶介、木村恵美理、Ingrid Hu

Photos by oboko: 3月開催の際に渋谷駅構内を巡りながら撮影したもの

oboko

oboko. 1988年生まれ。「いま・ここ」に生まれてくるサイト・スペシフィックな作品に特に興味がある。アートコレクター初心者。展示企画・翻訳などもします。 ≫ 他の記事

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