街を楽しみつくす。「黄金町バザール2018」フォトレポート

「黄金町バザール2018」で見逃せない作品を紹介。パフォーマンスやワークショップなどワクワクするイベントも盛り沢山。展示は10月28日(日)まで開催

poster for Koganecho Bazaar 2018 – Flying Supermarket

「黄金町バザール2018 -フライング・スーパーマーケット- 」

横浜、神奈川エリアにある
高架下スタジオSite-Aギャラリーにて
このイベントは終了しました。 - (2018-09-21 - 2018-10-28)

In Main Article 2 フォトレポート by Natsuki Morooka 2018-10-04

神奈川県横浜市黄金町エリア。かつて違法風俗店舗が立ち並び、景観や治安の悪さが問題になっていたこの街で、アートフェスティバル「⻩⾦町バザール」は2008年に始まりました。アーティストと地域住民、行政、警察が手を組み、アートを街なかに点在させることによって、地域のイメージを刷新するきっかけを作り、多様な価値観が共存する豊かな社会を考えてきました。
第11回目となる今年のテーマは「フライング・スーパーマーケット」。第1回目のテーマ「嘘のような本当の話」として展開した市場(マーケット/market)を超える(スーパー/super)ものを目指して、アジアを中心とした国内外7ヶ国17組のアーティストが集結。黄金町で日常的に活動するアーティストたちとともに、新作発表やワークショップの開催など、さまざまなアートを楽しめるような取り組みがなされています。

黄金町沿いの大岡川に展示された、アーティストコレクティブ「インスタント・コーヒー」によるカラフルな作品。奥の橋に見える道路標識のような作品は、金子未弥のワークショップに参加した地域の子どもたちの作品。

この記事では、京急線「黄金町駅」を下車し、高架下を「⽇ノ出町駅」まで歩いて、全部で約2時間で楽しめる作品の数々をご紹介します。
会場を周るために、まずは会場全体が載ったマップと、各展示会場で押せるスタンプカードが一緒になったチケットを手に入れましょう! いずれも「日ノ出スタジオ」「黄金スタジオ」2つのインフォメーションで手に入れることができます。マップには、近隣のアートスポットの紹介や、チケットの掲示でお得なサービスを受けられる地域商店の情報も掲載されていて、充実の内容です。
※公式ホームページ上にもマップPDFあり
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2018/kb2018_map.pdf

会場マップとスタンプカードにもなっているチケット。スタンプを押してポイントを集めると、景品がもらえます

蔡坤霖(ツァイ・クェンリン)+山田哲平+林子皓(リン・ズハオ) @大平荘スタジオ
プラスチックパイプからは水の中でしか聴こえない音が。音にみなとみらい線の電車の音が混じっていることも
黄金町駅を出て、まず見ることができるのは3人による共作《鐘の刻》。「黄金町バザール2010」に参加した蔡坤霖(ツァイ・クェンリン)と、秋吉台国際芸術村(山口県)で知り合ったアーティスト・山田哲平、海洋研究者の林子皓(リン・ズハオ)の3人は、扉を開けるには少し勇気がいる元スナックを改修した大平荘スタジオで展示しています。

水が張られた作品の中に入って、文字どおり作品を体感することができる

ハイドロフォンという水中の音を捉える機材で採集された大岡川の水中音と、プラスチックパイプを用いたインスタレーション作品は、手前に見える黒い版画の版に乗って体験しましょう。

山本アンディ彩果@八番館
「記憶」をテーマに制作活動する山本は、文庫本の小説を砂糖漬けにした立体作品と、自身の祖父を登場させた映像作品を使って、会場である「八番館」を「記憶の収蔵庫」として展開しています。

食料を保存する「砂糖漬け」の技法を使って本を固めた作品。記憶を砂糖で閉じ込められた本は陶器のような質感を帯びている

認知症の山本の祖父に砂糖を塗り重ねていく映像作品。忘れられていく不確かな「記憶」を保存しようとする試み

大野光一@1の1スタジオ
人の「顔」をモチーフにペインティングを描き続けてきた大野は、会場である「1の1スタジオ」の壁を作品で埋め尽くしました。顔の皮膚の奥にある、その人の魂までも表現したかのようなさまざまな顔に囲まれると、時間の流れが止まったような錯覚を覚えます。
会場は1階と2階にわたり、細かく仕切られ、壁一面に作品が掛けられた展示会場はまるで迷路のよう

インスタント・コーヒー@高架下スタジオ site-Aギャラリー
カナダのバンクーバーとウィニペグ、韓国のソウルを拠点とするアーティスト集団「インスタント・コーヒー」。彼らは高架下のギャラリーに物販やワークショップ、ライブなど活動の拠点となるプラットフォーム《Pink Noise Pop Up》を開店しました。
会場にあるものはすべて購入することができる

紙でできた財布や折り紙の船、街なかで拾った石などさまざまなものが並ぶ

スピーク・クリプティック@ハツネウィング壁面/地域の商店
変貌を遂げていく文化や都市に関心を持ち制作する、シンガポール出身のアーティスト、スピーク・クリプティックは、漫画やアンダーグラウンドな音楽シーンに影響を受けた作風で、異なるアイデンティティを持つ人々の存在を描いています。

ハツネウィング壁面に描かれた作品。都市で生まれたゴミを集めているようにも、背景の都市を建てているようにも見える、スピーク・クリプティック自身の顔を模したオリジナルのキャラクターは川を横断していく

そのほかにも立体作品が地域商店の軒先に点在している

エスクリ(ジェット・イラガン)@旧ヘアーサロン
フィリピンの若手アーティスト、エスクリ(本名: ジェット・イラガン)は、地域特有の音を採集して音楽を紡ぐ「フィールド・レコーディング」の手法で、作品を制作しています。今回は黄金町を歩き、その場所で拾った音でできた音楽をカセットテープに閉じ込めました。会場は1階と2階に分かれており、2階では大岡川を望みながら、ゆっくりと音楽を楽しむことができます。

音を採集した場所の映像を見ながら、ヘッドフォンで音楽を聞く

それぞれのカセットテープに、「ランドリー」「本屋」「美容室」など音を採集した場所、ワンダースタジオを展開した場所が書いてある

「黄金町バザール」の味わい方は、アーティストの作品を鑑賞するだけではありません。アートを多彩に楽しむためのワークショップやイベントに参加するのもオススメですよ。

▼金子未弥: 都市をスケールから解放するワークショップ
「自分自身にとって重要な場所(の名前)」から「将来行きたい場所(の名前)」までを、その方向を示す矢印と共に子どもたちに描いてもらい、街なかに展示します。
日時: 10月7日(日)11:00〜材料がなくなり次第終了
場所: 高架下スタジオ Site-B(横浜市中区黄金町1-4番地先)
参加費: 無料
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2018/event/2018/10/post-20.html

▼安部泰輔: 「黄金森」ヌイグルミオブジェのワークショップ
参加者のみなさんが描いた動物などのドローイングをもとに。安部さんが古着を素材にしたヌイグルミオブジェを制作します。
日時: 黄金町バザール会期中の毎日、11:00〜18:00
場所: 黄金スタジオ(横浜市中区黄金町2-7番地先)
参加費: 1000円
※1日10人限定、予約不要
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2018/event/2018/10/post-15.html

▼葉栗翠+イクタケマコト: ワークショップ「ちょいす×3 ぷりんと」
黄金町に関わるアーティストや団体から集めた50種類のデザインの中から好きなものを選び、布製品に自分でプリント体験!
日時: 黄金町バザール会期中の土日祝日、11:00〜15:00(最終受付14:30)
場所: 黄金スタジオ(横浜市中区黄金町2-7番地先)
参加費: 500円/枚 無地のトートバックが必要な場合は別途300円)
※1日20枚まで、予約不要、小学生以下は大人同伴
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2018/event/2018/10/3.html

※他のプログラムについてはこちらをご覧ください。

暑さも落ち着き、外をのんびり歩きながら作品を楽しむにはいい時期ですが、黄金町は川沿いの街。蚊が多いので虫除け対策をバッチリに、作品を楽しみましょう!

◾️「黄金町バザール2018 -フライング・スーパーマーケット- 」
ホームページ: http://www.koganecho.net/koganecho-bazaar-2018/
会期: 2018年9月21日(金) ~ 2018年10月28日(日)
場所: 京急線「日ノ出町駅」から「黄金町駅」間の高架下スタジオ、周辺のスタジオ、地域の商店、ほか
開館時間: 11:00〜18:30(10月6日、7日、26日、27日は20:00まで)
休場日: 月曜日(月曜日は祝日の場合は翌火曜日)
入場料: 700円(会期中有効のフリーパス)、高校生以下 無料
アクセス: 京浜急行電鉄日ノ出町駅または黄金町駅より徒歩3分、横浜市営地下鉄ブルーライン阪東橋駅3A出口より徒歩6分

All photo by Xin Tahara (スピーク・クリプティック《Here With You #3》作品画像を除く)

Natsuki Morooka

Natsuki Morooka. 福岡県生まれ。2015年5月よりTokyo Art Beatで「ミューぽん」のマネージメントや営業を担当する。最近は娘と美術館や芸術祭に行って、作品を見たときの反応を見るのが楽しみ。 ≫ 他の記事

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