現代に生きる示唆を残したシャルロット・ペリアン

フォンダシオン ルイ・ヴィトンで開催中の大回顧展でたどる、20世紀のデザインの巨匠

In Main Article 1 フォトレポート by Xin Tahara 2019-11-10


フォンダシオン ルイ・ヴィトン外観

パリ、ブーローニュの森でシャルロット・ペリアンの全貌を振り返る大回顧展「LE MONDE NOUVEAU DE CHARLOTTE PERRIAND」が開幕した。
ペリアンと言えば、代表作の長椅子などの家具、そして建築家ル・コルビュジエとの親交で著名とはいえ、その活動がこれまで網羅される機会が多かったとは必ずしも言えない。
世界初のインテリアデザイナーとも称されるが、建築や家具のみならず、コミュニスト誌の刊行やフェルナン・レジェやピカソら画家との交友、晩年のリゾート設計、茶室など活動は実に多岐にわたる。さらに日本とは数年間の滞在や百貨店での展覧会など縁が深い。

■シャルロット・ペリアンとは

1903年パリに生まれたペリアンは、1927年にル・コルビュジエのアトリエに入所し、協働を始める。1999年に亡くなる最晩年まで、世界各地で作品を発表し続け、まさに20世紀を代表するデザイナーだ。
20代は当時のスター、ジョセフィン・ベーカーの髪型を真似、クロム鋼のネックレスをするなど前衛的なファッションに身を包んでいた。


シェーズ・ロングに自ら寝そべるシャルロット・ペリアン、この写真でもペリアンのお気に入りの服装が見て取れる。

アトリエではル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレとともに、鉄、アルミニウム、ガラスといった新素材を用いて制作した「住宅のインテリア設備」を発表し、新時代の住宅のあり方を提言した。


ピカソやレジェのドローイングを彫ったコーヒーテーブル《Manifesto Table》1937。スペイン内戦時、批評家で共産党員のジャン・リシャール・ブロッシュのためにつくられたが、ペリアンはこうしたコミュニストとしての働きも多かった。

1940年、ル・コルビュジエのアトリエで同僚だった坂倉準三の推薦により、フランス商工省の工芸指導顧問として初来日する。海外向けの工芸品の改良・指導を任され、柳宗理とともに日本全国をまわり、仙台の工芸指導所では若い研究員を対象に、素材の扱いやデザイン等を指導した。


中央の絵は、日本の子どもの絵をペリアンが選び、長谷川三郎が巨大なテキスタイルに仕立てたもの。神奈川県立美術館から出展されている。

戦況の悪化により、一度帰国するが、戦後も1953年に再来日。東京・高島屋で「芸術の綜合への提案―コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」(1955年) を開催。文楽から着想した椅子《オンブル(影)》をはじめ、違い棚をヒントにした書架など、戦前の自身の日本体験をデザインに生かした数々の名作を生み出した。

■シャルロット・ペリアン展のみどころ


完全に再現された、1929年のサロン・ドートンヌに出品されたル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレらとの共作の空間。なんと実際に座って体感できる。


ペリアンによる写真作品。魚などの骨のシルエットが有機的なカーブを描いている。


ロベール・ドローネ、アレクサンダー・カルダー、フェルナン・レジェらの大作が並ぶ部屋も。


今回の展示の一番の見所とも言える、通称水辺の家 《限りなく水に近い家》 フォンダシオンの建築であるフランク・ゲーリーとの「共作」の空間。


こちらは座ることができないが、フォンダシオンの水上で一時佇みたい。


ペリアンによるBlocサイドボード(1960)と壁掛けの照明(1975)。間接照明とカラーリングがモダニズムを感じさせる。

1920年代から亡くなる90年代まで、ペリアンの活動は20世紀のデザインとアートの歴史と言えるだろう。ペリアンの評価の少なさは、彼女自身が名声に興味がなかったこともあるが、当時これほど女性が活躍することへの困難が大きかったことは想像に難くない。家具のいくつかもル・コルビュジエらとの共同名義で発表されながら、ペリアンの仕事だと後年に明かされたものもある。フォンダシオンの館長を務めるジャン=ポール・クラヴリは、そうした状況を変え、こうした展覧会として具現化し伝えていくことこそが男性の役割でもある、と語る。21世紀を生きる私たちへの膨大な示唆を込めた展示に学ぶべきことは数知れない。

■概要
LE MONDE NOUVEAU DE CHARLOTTE PERRIAND
会期:2019年10月2日(水) ~ 2020年2月24日(月)
会場:Fondation Louis Vuitton
住所:8, Avenue du Mahatma Gandhi, Bois de Boulogne 75116 – Paris
ウェブサイト:https://www.fondationlouisvuitton.fr/fr/expositions/exposition/charlotte-perriand.html

■ル・コルビュジエにまつわる建築をまわるなら

・ラ・ロッシュ邸 + ル・コルビュジエのアパルトマン

ラ・ロッシュ邸の外光が差し込む美しいリビング。ル・コルビュジエの「白の時代」の住宅建築だが、ペリアンは改装に携わった。
ラ・ロッシュ邸とアトリエのセット券が15ユーロでお得。歩いて25分ほどの距離にあり、フォンダシオンからもほど近い。Uberなどで周遊をおすすめしたい。

最上階のアパルトマン内観。家具にもペリアンの息遣いが聞こえるようだ。

開館日:月曜・火曜・金曜 14:00 〜 18:00、土曜 10:00 〜 13:00、13:30 〜 18:00
住所:ラ・ロッシュ邸 10, square du Docteur Blanche, 75016 Paris、アパルトマン  24, rue Nungesser et Coli, 75016 Paris
ウェブサイト:http://www.fondationlecorbusier.fr/

・サヴォア邸

おなじみル・コルビュジエの名建築も、パリ郊外。フォンダシオンから車で30分ほど。
休館日:月曜
開館時間:1月2日 〜 4月30日 10:00 〜 17:00、5月2日〜8月31日 10:00〜18:00、9月1日〜12月24日 10:00〜17:00
住所:82, rue de Villiers, 78300 Poissy
ウェブサイト:http://www.villa-savoye.fr/

Xin Tahara

Xin Tahara. 北海道函館市生まれ。Tokyo Art Beat PR・セールス、ソーシャルメディア、ニュースの編集も。都内を中心に自転車でアートスペース巡りが日課。料理と植物も。 ≫ 他の記事

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