日本庭園で全身で音を聴く、evala + 鈴木昭男「聴象発景」

香川県丸亀市の大名庭園「中津万象園」で開催されている「音の展覧会」フォトレポート

In Main Article 3 フォトレポート by Xin Tahara 2019-11-18

香川県丸亀市にある中津万象園。300年を超える歴史を持つ日本庭園にて、サウンドインスタレーション「聴象発景 / evala (See by Your Ears) feat. 鈴木昭男」が開催中だ。
日本庭園で音を聴く、というなかなか想像がつき難い展覧会だが、池の畔を歩きながら五感で楽しめる構成になっている。

園内各所に鈴木昭男の《点 音(o to da te)》があり、その場所に立って音を聴くことができる。ここでは北斗七星に見立てて、宇宙を借景としている。

江戸時代に建てられた、現存最古の煎茶室「観潮楼」では、evalaによる立体音響作品《Anechoic Sphere – Reflection/Inflection》が体感できる。この空間に佇んでいると、万象園やこの庭園の元となった近江八景でフィールドレコーディングしたという季節を感じさせる音源や音楽と、その場での現実との境界がないまぜになっていく。
これまで無響室など閉じた空間での音楽を披露してきたevalaにとって、今回の試みはタレルやケイジの延長ではなく自然に開かれた空間でまったく新しい表現に挑戦したものだと語る。


潮を観る、という意味で以前は海が見えた「観潮楼」。ここからの庭園の眺めそのものも絶景だ。池は汽水になっていて、ボラが跳ねることもあるという。


1996年の発表以来、世界中で展開している《点 音(o to da te)》の作品名は、野外で茶を楽しむ茶道の「野点(のだて)」が由来だ。この場所からは讃岐富士が見える。


丸亀美術館内にある鈴木昭男《エコノミカル・ガーデン》。
万象園の輪郭を木枠でかたどっており、枠内には園内の8つの島に見立てたオブジェを配置。枯山水の砂がピンポン球となり、ルンバが砂紋描きを行うお坊さんになぞらえられている。

オープニングでのパフォーマンスを行う鈴木昭男。園内のあらゆるものを楽器にしてしまう。見ている観客も自身の一挙手一投足がその一部にさせられているような感覚に捉われる。


樹齢600年と言われる一本の松が直径15mにわたって大きく傘を広げた形をしている。

2人のどの作品も庭園からのイメージが色濃く反映されているが、実はこの庭園そのものが近江の出をバックグラウンドに持つ庭園として琵琶湖を借景としており、中心に位置する雄大な池には「近江八景」を模した8つの島が浮かぶ。庭園は1時間ほどで歩いて回ることができ、行楽にも絶好の散策路だ。

evalaは実は幼少期に鈴木昭男のコンサートに出会っていたという縁があり、数十年後にまた偶然の共演を果たしている。今回も2人の音の共通点と偶然性を庭園の場を借りることで、観客がその出会いを体感できると言えるかも知れない。

この週末に岡山芸術交流、瀬戸内国際芸術祭とまわる際にぜひとも足を運びたいサイトスペシフィックな展示だ。

evala

鈴木昭男

特別展「聴象発景 / evala (See by Your Ears) feat. 鈴木昭男」
会場:中津万象園・丸亀美術館
住所:香川県丸亀市中津町25-1
会期:2019年9月27日 〜 11月24日
営業時間:9:30 ~ 17:00(最終受付は16:30)
定休日:水曜
料金:大人 1000円、小人(小・中生)500円 中津万象園・丸亀美術館セット料金
※障害者割引(大人 500円、小人 150円)

evala《Anechoic Sphere-Reflection/Inflection》
公開場所園内「観潮楼内部」
公開日時:土曜・日曜・祝祭日(月~金は非公開)

ウェブサイト:http://www.bansyouen.com/sound/

Xin Tahara

Xin Tahara. 北海道函館市生まれ。Tokyo Art Beat PR・セールス、ソーシャルメディア、ニュースの編集も。都内を中心に自転車でアートスペース巡りが日課。料理と植物も。 ≫ 他の記事

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