自宅で楽しむアート・デザイン ムービー10選

アーティストや建築家のドキュメンタリー、名作アニメまで。動画配信サービスで鑑賞可能な映像作品10本を厳選して紹介する

In Main Article 3 特集記事 by Art Beat News 2020-03-16

美術館やギャラリー巡りができない日には、家で読書や映像鑑賞がおすすめ。今回は、アート、デザイン、アニメーション、ダンスまで、動画配信サービスの中からおすすめの10作品を紹介する。Netflixオリジナル作品以外は配信期限があるため、気になる作品は早めにチェックしてほしい。


 

1:アート・オブ・デザイン(オラファー・エリアソン)

様々な分野で時代を切り開いてきた人々に注目するNetflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ「アート・オブ・デザイン」からは、2つのエピソードを紹介する。まずは、東京都現代美術館で個展「ときに川は橋となる」を行うオラファー・エリアソンのドキュメンタリー

「あなたにはこれがどのように見えますか?」とエリアソンが視聴者に語りかけてくるなど、このシリーズの中でも双方向的な場面が多く、それゆえ没入感も随一なのがこのエピソード。自然現象や鏡の現象を利用したインスタレーションをはじめ、これまで手がけてきた代表作を自ら紐解く本作からは、アーティストのたゆまぬ探究心が見えてくる。アーティストであった父との関係、デンマークからドイツへ渡ったときの心境まで、60分という長さながら自伝的な要素も詰め込まれた本作は、展覧会の予習にもおすすめだ。
 

2:アート・オブ・デザイン(ネリ・オックスマン)


同じく「アート・オブ・デザイン」からは、バイオ建築家でMIT教授のネリ・オックスマンのエピソードにも注目。アートの「表現」、科学の「探求」、工学の「発明」、デザインの「対話」の4つの要素を取り除いた活動をしたいというオックスマンは、6500匹の蚕とつくる建築《シルク・パビリオン》など、自然と密接な技術を開発し続けている。

環境危機が叫ばれる昨今、「未来のデザインは顧客のためではなく、自然のためにあるべき」と話すオックスマンの挑戦の数々は、これからいっそう注目を集めるだろう。

時間:45分
配信:Netflix
 

3:バーデン


1970年代、ピストルで腕を撃ち抜く過激なパフォーマンスや、ロサンゼルス・カウンティー美術館(LACMA)の屋外に設置され、人気のフォトスポットになっている《Urban Light》(2008)などで知られるクリス・バーデン(1946-2015)。本作『バーデン』は、大学院時代に卒業制作として発表した最初期のパフォーマンスや、銃を使った作品を「強力な彫刻」と見出した後の過激な作品の数々、「もうパフォーマンスはしない」と話す晩年まで、バーデンの約半世紀におよぶ作家人生を深く知るのにぴったりな映画だ。

病に侵された作家が、最後に制作した美しい作品とは? エンドロールで流れる、Suicideの代表曲「Dream Baby Dream」も、歌詞自体がバーデンの生き方を投影しているようで胸を打つ。

監督:ティモシー・マリナン、リチャード・デューイー
時間:90分
配信:Netflix
 

4:ザ・スクエア 思いやりの聖域


都会的で社会的地位のある現代美術館のキュレーターが、次々と奇妙な事態に巻き込まれていく様子が描かれるのが『ザ・スクエア 思いやりの聖域』だ。ときおり自己弁護的に他者への寛容を示す主人公、バズりのためなら手段を選ばないPR会社、都市で物乞いをする人々など、現代では決して珍しくない登場人物の多くが率直に描かれ、それゆえに全員の行動が皮肉めいて見える。

後味は決して良いとは言えない映画だが、その後味の悪さを分解し、咀嚼し、納得していくことはこの映画の意味のひとつだろう。第70回カンヌ国際映画祭では最高賞のパルム・ドールを受賞。

監督:リューベン・オストルンド
時間:151分
配信:NetflixYouTube(購入・レンタル)、Google Play(購入・レンタル)
 

5:本番まで、あと7日


スポーツ、ファッション、宇宙、グルメなど、それぞれ異なる分野の一大イベントの開催までの7日間にフォーカスするのが、Netflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ「本番まで、あと7日」。今回はその中から、シャネルの2018年春夏オートクチュール・コレクションに迫るエピソードを紹介。

2019年に逝去したカール・ラガーフェルドがアーティスティック・ディレクターを務めていた時代のシャネル。本作では、プルミエール(裁縫師)が働くアトリエ、大掛かりなセットを設営するスタッフ、モデルのフィッティング、グラン・パレでの本番ショーまで、7日間の奮闘に密着する。終盤、スタッフのひとりが「宇宙で一番美しいブランドだと思うわ。プライドがある」と漏らすが、ラガーフェルドを中心に登場人物全員が同志として互いを尊重し、仕事をまっとうする姿はまさにプロフェッショナルと言えるだろう。

監督:アンドリュー・ロッシ
時間:46分
配信:Netflix
 

6:パンダコパンダ


2019年、東京国立近代美術館で行われた回顧展「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」が大きな話題となった、アニメーション演出家の高畑勲(1935- 2018)。その高畑の監督作であり、『となりのトトロ』の原型とも評される『パンダコパンダ』もNetflixやAmazon Primeで公開されている。また、第26回小学館漫画賞に輝いた人気コミックを高畑が映画化し、のちのアニメシリーズへとつながった『じゃりン子チエ 劇場版』も公開中。家族で見たい名作アニメを自宅でぜひ楽しんでほしい。なお、「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」展は岡山県立美術館に2020年4月10日~5月24日の期間で巡回する。

監督:高畑勲
時間:33分(第1話)、37分(第2話)
配信:NetflixAmazon Prime(購入・レンタル)、YouTube(購入・レンタル)
 

7:ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ


2009年クリスティーズのオークションで、インテリア史上当時最高額(当時)の約28億円で落札された《ドラゴン・チェア》。このデザインを手がけたのが、デザイナーで建築家のアイリーン・グレイだ。1926〜29年、グレイは自身初の建築として、別荘「E.1027」を南仏に完成させるが、長いあいだ、それはル・コルビュジエ作とされ、グレイはモダニズムの歴史から抹消されていた。それはなぜなのか? この裏側のドラマを描くのが本作だ。なお、映画タイトルは『ル・コルビュジエとアイリーン』だが、主人公は紛れもなくアイリーン。

監督:メアリー・マクガキアン
時間:108分
配信:Amazon PrimeYouTube(購入・レンタル)、Google Play(購入・レンタル)
 

8:ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣


「世界一優雅な野獣」「孤高の天才バレエ・ダンサー」と称されるウクライナ出身のセルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー映画。優雅に踊りながらも身体には大きなタトゥーを入れ、ドラッグ経験を堂々と公言するポルーニンは、クラシックなバレエ・ダンサーとは異なる、ロックスターのような佇まいが特徴。本作は、そのポルーニンの生い立ちと成功、挫折、極限の苦悩、そしてYouTubeを発端に知名度を爆発的に広めたミュージック・ビデオ「Take me to church」の舞台裏まで、バレエ・ファンのみならず楽しめる一作だ。

監督:スティーヴン・カンター
時間:84分
配信:NetflixAmazon PrimeYouTube(購入・レンタル)、Google Play(購入・レンタル)
 

9:ゴッホ:天才の絵筆

言わずと知れたポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。映画『ゴッホ:天才の絵筆』は、ゴッホ自身の目線でゴッホの人生と絵画が語られる、解説ツアーのようなユニークなドキュメンタリーだ。本作の大きな手がかりとなるのは、ゴッホが弟・テオに宛てた手紙。オランダのファン・ゴッホ美術館に務めるひとりの研究員がそれを読み解き、ゴッホに並走するストーリーテラーとしての役目を果たす。絵の舞台となった美しい自然風景も高画質で堪能できる、ゴッホ入門としてもおすすめの映画だ。

監督:フランソワ・ベルトラン
時間:39分
配信:Amazon Prime
 

10:REM


建築家、都市計画家で、世界7ヶ所に拠点を持つ建築設計事務所「OMA」の代表でもあるレム・コールハース。その実子・トマスが監督を務める映画「REM」は、孤独、有名であること、大切にしている目線、都市と田舎など、レムが関心を抱くトピックが次々と語られる、エッセイのようなドキュメンタリー。劇中には、OMAパートナーの重松象平も登場し、カリスマ的な人気を誇るレムとOMAの関係性についての考えを明らかにする。また、ホームレスを含む一般の人々がどのようにレムの建築に親しんでいるかが垣間見えるシーンは、建築の「見た目」だけではない、双方向的な関わり方を温かに雄弁に描写する。

監督:トマス・コールハース
時間:75分
配信:Amazon Prime
 

こうした動画配信サービスのほかに、Ubuwebにも注目。詩人で批評家のケネス・ゴールドスミスが教育目的で1996年に設立したUbuwebでは、映像、サウンドアートなど、アーティストの作品そのものを鑑賞可能。「Film & Video」「Sound」「Dance」などから気になる項目をぜひチェックしてほしい。

Art Beat News

Art Beat News. Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。Tokyo Art Beatが紹介する数多くのイベント情報以外にも、独自の視点でピックアップします。 ≫ 他の記事

コメント

Instagram

人気記事

TABlogのそれぞれの記事は著者個人の文責によるものであり、その雇用主、Tokyo Art Beat、NPO法人GADAGOの見解、意向を示すものではありません。

All content on this site is © their respective owner(s).
Tokyo Art Beat (2004 - 2020) - About - Contact - Privacy - Terms of Use