大阪中之島美術館が40年の構想を経て2022年2月2日に開館。オープニング記念展として2月2日から3月21日まで「超コレクション—99のものがたり—」展、4月9日から7月18日まで特別展「モディリアーニ」が開催される。
同館が位置するのは、大阪府の中心地にありつつも川に挟まれた緑豊かな中洲で、国立国際美術館があることでも知られる中之島。もともとは、1983年に山本發次郎の遺品として大阪市に寄贈された約580点の作品をきっかけに、市制100周年(1989年)記念事業構想のひとつとして「大阪市立近代美術館」の名称で構想されていた。
90年に「大阪市立近代美術館(仮称)建設準備室」が開設後、準備室が企画する展覧会を年 1〜2 回開催しており、2004年から12年まで活動した「心斎橋展示室」では、コレクション展を中心に展覧会を年2〜3回開催してきた。「大阪中之島美術館」としては、19年に建築工事着手し21年6月に竣工。満を持して22年2月、開館の運びとなる。館長は菅谷富夫が務める。
オープニングを記念して開催される「超コレクション—99のものがたり—」展は、同館がこれまでに収蔵した6000点を超えるコレクションから約400点が選ばれ、公開される。本展タイトルの「99」は未完成であることを意味しており、作品にまつわる99の“ものがたり”ものがたり”もあわせて紹介。わたしたちという「100個目のものがたり」によって展覧会は完成するというコンセプトを掲げている。
第1章「Hello! Super Collectors」は山本發次郎、田中徳松らの寄贈からはじまる同館のコレクション形成史に従い、佐伯祐三、マリー・ローランサン、小出楢重などを紹介。
続く第2章「Hello! Super Stars」では、20世紀以降の美術において重要な作品を展示。後ほどお伝えする特別展で登場するアメデオ・モディリアーニのほか、マックス・エルンスト、ルネ・マグリット、アルベルト・ジャコメッティなどシュルレアリスムに縁のある作家や、マーク・ロスコ、フランク・ステラといったニューヨークで活躍した作家、ゲルハルト・リヒターや草間彌生らの作品が並ぶ。
最後の第3章「Hello! Super Visions」では、美術から少し離れ約200点のグラフィックや家具などを一堂に展示。展示には、1859年製造のミヒャエル・トーネットの椅子から、ヨーゼフ・ホフマンを中心としたウィーン・デセッションの家具、ロートレックやミュシャのクラシック・ポスター、アルヴァ・アアルトの北欧デザイン家具まであり、19世紀後半から1980年代までのデザイン史をたどることのできる展示が期待される。
その後、4月9日から7月18日までは特別展「モディリアーニ」も開催される。作家の回顧展としては日本で2008年以来14年ぶりとなる本展は、同館が所蔵する《髪をほどいた横たわる裸婦》を筆頭に国内外の約40点が展示予定。20世紀のパリ芸術と、モディリアーニを含む「エコール・ド・パリ」の動きを想像できるはずだ。