この展覧会の楽しみ方は2つあって、まずそれぞれの作家1人ずつを見て、この約40年の間に表現がどのように変化したのかを見るという見方。もう1つはそれぞれの時代で、4人の作家の表現の違いを見比べるという見方。このどちらの見方もできるし、あるいはその他の見方もできるかもしれない。
東京国立近代美術館の常設展は、明治から現代までの日本の作家の作品を中心に展示している。それは、確かに初めて見た時はそれなりに面白く見ることができた。しかし、回数を重ねる毎に、ほとんど作品も配置も変わらない展示に段々関心が薄くなっているのを感じていた。そんななか、この企画が始まったのだ。
すでに持っている作品をつかってどれほど面白い企画ができるかというのは、すごく興味を引かれる試みだ。自分の置かれた状況に即して、有意義で面白い企画をやること。これが現在のキュレーターに求められている能力なのではないか。高額のお金を払って海外から有名作家の作品を借りて、大きな展覧会をやるという単純な展覧会のつくり方はすでに過去のものになりつつある。そういった意味でこの企画は興味深かった。
しかしながら、なぜこの4人が選ばれたのかということに関しては若干の疑問が残った。単純にこの2つの時代の作品が揃うのがこの4人だけだったのかもしれない。それならそれでも構わないのだけれど、時代へのアプローチとしては河原温の作品が突出してよかった。