アート・&・リバー・バンク小泉伸司の新作は、独自の方法で撮影された映像をメインとしたインスタレーションです。映写窓を通してスクリーン上に様々な物語を投影するはずの光。けれども、小泉の映像の焦点は映写窓のそのものにあてられています。そのため、観るものの意識は、ガラス上に刻まれた微かな傷跡や、汚れ、そしてときには小さな生きものたちのシルエットに捉えられます。一方、スクリーン上に物語や事件を映し出すはずの光は、ただボンヤリとした色や光の塊となって漂うばかりです。物語や事件という、いわば生の営みそのもののとらえどころのなさやはかなさ。小泉の作品の揺らめく光は、静かにその事実を呟きます。
映画『タクシー・ドライヴァ』でロバート・デニーロが演じた主人公の名前からとられた新作のタイトル。悪と正義が複雑に行き来するその映像からの引用は、現実と理想が、それぞれの立場を密かに入れ替えていることを示唆しています。
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