アピチャッポン・ウィーラセタクン 「Replicas」

スカイ・ザ・バスハウス

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アピチャッポン・ウィーラセタクンは1970年、バンコク、タイ生まれ。タイで建築を学んだ後アメリカで美術、映像製作を学びました。1990年代前半から米国でショートフィルムやビデオ作品の製作を始め、99年に母国で映画製作会社キック・ザ・マシーン(Kick the machine)を設立。監督した長編映画が数々の映画祭に招待上映され、受賞を重ねてきました。一方アートのフィールドでも、国際展に映像インスタレーションを出品して高い評価を得ています。

アピチャッポンは製作の拠点とするタイを舞台とし、プロの役者ではない市井の人々が演ずる作品を多く発表しています。日々の感情や出来事を書き留めたメモや占い師によるアドバイスをもとに組まれた簡単なプロットを土台に、それぞれの出演者の実際の生活や対話から生まれた反応、インスピレーションなどを即興的に組み込むことでフィクションとドキュメンタリーを有機的に反響させながらつくられていくアピチャッポンの映像には、ある特定の主体のみによって生み出されるのではなく様々なものの関わりの中で展開していく現実世界のリアルで瑞々しい生のリズム、トーンがあります。その不自然なよどみのない独特な質感は、舞台となっているタイの空気感、経済成長を続ける今もなお君臨する国王への忠誠と神への敬虔な信仰を礎とする精神性の現れかもしれません。

また作品には、『ブリスフリー・ユアーズ』(2002)、『トロピカル・マラディ』(2004)、『世紀の光』(2006)と、前半と後半に分かれた長編映画がありますが、そこに共存する二つのパートの関係性は曖昧でゆるやかに開かれています。その他のアピチャッポンの作品にも共通するのは、一方向の時間軸で進むのではなく、自身の感覚や感情を元に物語を発展させ、触媒のように見る者を個人的な内の思惟に誘う点です。そしてその試みは、映像インスタレーションという表現方法をとることで抽象的なことがらに焦点が絞られ、よりフィジカルに量感のある体験をもたらします。

今回のSCAIでの個展では、映像インスタレーション作品”Unknown Forces”をメインに、併せて写真作品やスケッチなども展示し、アピチャッポンが思考する課程を見せる予定です。”Unknown Forces”は2006年に起きたタイの政変に触発された作品で、社会の底辺として働く日雇労働者たちを乗せて運ぶピックアップ・トラックをモチーフにしています。トラックの荷台を舞台に描かれた4面マルチの映像は、工事現場を転々とし、時には政治信条とは無関係にデモ行進のサクラにもなる肉体労働者の無力さを暗示し、無知は幸福かという疑問を投げかけます。タイの滲んだ状況が透明感のある抒情的な映像で表現されています。

[画像: "Unknown Forces" (2007) © Apichatpong Weerasethakul]

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スケジュール

2008年01月09日 ~ 2008年01月26日

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Darryl Jingwen Wee tablog review

Shuttling Around

Apitchatpong Weerasethakul's subjects act out - or find themselves acted upon by - unseen forces in a politically turbulent time.

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