特集陳列 「能『三井寺』の面・装束」

東京国立博物館

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園城寺(おんじょうじ)という名称でも知られる三井寺は、琵琶湖(びわこ)のほとりにあり、その鐘の音色が有名です。江戸時代には「三井の晩鐘」が「近江八景」のひとつに数えられました。能『三井寺』は、わが子を人商人(ひとあきんど、人買い)にさらわれた女が、三井寺の鐘が縁となって別れた子と再会する物語です。

子どもを誘拐された悲しさのあまり、物狂い(狂女)となり京都・清水寺に身を寄せている女が色目の地味な秋草模様の唐織を着流しに着用し、「曲見(しゃくみ)」「深井(ふかい)」といった中年女性の表情を持つ面を付けて登場します。あるとき、その女に、三井寺へ行けば、わが子に会えるという夢のお告げがありました。喜んだ女は旅支度をして三井寺へと出かけます。女が三井寺へ着くと、角帽子(すみぼうし)を被り、熨斗目(のしめ)の上に水衣(みずごろも)を着用した寺の住職たちが、振袖姿の稚児を引き連れて十五夜のお月見を楽しんでいるところでした。肩衣(かたぎぬ)に半袴(はんばかま)姿の能力(のうりき、寺で力仕事をする寺男)が打つ鐘の音も聞こえてきます。なにか面白い芸を期待されて、女は月見の席に引き入れられます。水衣に腰巻(こしまき)姿で現われた女が、十五夜の月の美しさに心が踊り、鐘を突きはじめたのを見て、稚児はその女が自分の母親だと気づきます。稚児が女に故郷を尋ねると、女もまた、その声が自分の息子の声であることに気づきました。こうして再会した母子は、互いに喜び合いながら故郷へと帰っていくのでした。

鐘を突く動的な所作と月見の風雅な場面とが交互に織り成された名作として、現代でも秋にしばしば演じられる人気の曲目です。

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2008年08月05日 ~ 2008年09月21日

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