西野壮平 「i-LAND」

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7作品目の新作「PARIS」を完成させて、西野壮平は「DioramaMap」にピリオドを打つ。シリーズの最終章となるカラーの新作とともに、全オリジナル作品がやって来る。
時に橋の上であったり、ビルの屋上であるだろう。
あるいはどこかの丘からの眺めかもしれない。
西野壮平の仕事は、カメラを持って都市をつぶさに歩いて回る事から始まっている。 処女作は作者が慣れ親しんだ「大阪」。 優に150本を超えるフィルムを使って、およそ50箇所の位置から俯瞰できる場所から撮影している。 写真はベタ焼きされ、1枚1枚切り取って記憶を頼りに繋ぎ合わせてゆく。完成までに丸1年を要し、費やした時間もエネルギーも半端でないことは作品自身がなにより饒舌だ。
2005年、キヤノン写真新世紀2005で「大阪」「京都」「広島」「上海」「東京」を出品して優秀賞を受賞。 2007年、現代アート展「都市との対話」で若手アーティストによる展覧会が横浜と神戸で開催され、「N.Y」を含めて6作品を出品して話題となったのも記憶に新しい。
今年、新作「PARIS」を仕上げて、この5年間に創作した全7作品と最新作がここ広尾にやって来ることになった。 西野の作品は、仕上がった作品を一旦複写し、フラットな一枚作品として発表するのが常であったが、今展ではオリジナルをそのまま発表するという大胆な展示方法が予定されている。 特筆すべきは、新境地に挑んだ2.5メートルを超えるカラー作品が登場することだ。
7つのモノクロ作品DioramaMapシリーズは、都市の特色をデフォルメさせながら手作業で全体像を再現させていく。 忠実ではあっても正確ではなく、記憶の中で覚醒するイメージを描き出そうとしている。
一方、本邦初公開となる巨大なカラー作品「i-LAND」では、それまでのコンセプトとは違い、この世に存在しない空想都市を描こうとしている。 今まで記録した日本の写真を緻密な作業と大胆な構図で組み合わせ、トマス・モアの『ユートピア』を現代の日本に現そうとするような作品だ。 しかし不条理な現実を批判するものではなく複雑で異なった価値観を持つ社会のなかにも「共生」できる何かを見つけだそうとしているのが、この最新作『アイランド』だろう。 作業は仕上げ段階に入っているが、展覧会当日まで作業は続けられるに違いない。まだ糊が乾ききらない出来たての作品が登場することになりそうだ。
「i-LAND」は、遠目にはデジタルか?と見紛うが、作品に近寄るにしたがってその複雑な作業行程を思い知らされることになる。 ゴツゴツとした表層、はみ出したボンド、堆積したおびただしい数の写真。 作品の表面からは言いしれぬ迫力が漂い、見る者を圧倒する。
すでにデジタル技術が特別なものではないポストデジタル時代に移行した今、芸術も同様、コンテンポラリーアートの中にデジタルで表現された作品が多く出てきたことは何の不思議ではない。
西野壮平の場合、ハサミをマウスに持ち替え、糊の代わりにコピー&ペーストで制作したならば、人を惹きつけるような作品にはなりえなかったに違いない。
7つのDioramaMap作品が20世紀に現出した現代の都市の肖像であるなら、新作「i-LAND」は、より自由な発想で描いた西野壮平の日本の未来予想図ということだろう。
この展覧会では、作家の全生命をかけた訴えが聞こえてくるような迫力に心を砕かれるなら、これらの作品は傑作になる。 そうでない人にとっては、時代遅れなポップアートくらいにしか映らないだろう。

2008年8月 エモンインク ディレクター 小松整司

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スケジュール

2008年09月15日 ~ 2008年10月17日

アーティスト

西野壮平

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