CLEAR GALLERY TOKYO1977年、NASAは惑星探査機ボイジャーを打ち上げました。そこには地球外生命体に回収される可能性を想定し、地球の様々な音やメッセージが込められた一枚の銅板製のレコードが積まれておりました。70年代においてレコードは最も優れた録音メディアの一つでありましたが、惑星探査機に搭載された要因の一つは、極めて原始的な再生方法で試聴可能であるということでした。レコードは、溝と針が起こす振動が増幅されることによって音を発する極めて具象的、直接的な音の記録であります。また刻まれている溝の密度、間隔から音を視認することができる唯一のメディアと言えます。また、音を直接刻み、針を通してそれを振動、増幅させて音を出す、という意味においてはレコードというメディアはアナログの分野において未だに頂点に君臨するものです。
「Sound:音」と「physicality:具象性」の関係性を制作の大きなテーマとして掲げているスズキの言葉を以下に借用します。 physicality(具象性)を失ったモノはvirtual(仮想)であり、もはや実存しない。 私が昨今のデジタル化されたsound(音、音楽 音源)に不安を感じるのは、全てが仮想のデータにすぎないからである。スズキユウリ
このような思考のもと制作されたレコードを使用した作品群は、小さなプレイヤーで何万曲をも聴けてしまう我々に対し、音が本来持つ具象的な側面の存在を気づかせます。デジタル優位な便利な時代ではありますが、鈴木の作品は「音」が単なるデジタル情報としての仮想データではなく実際に存在する具象物であることの意味を我々に問いかけます。
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