終了した展覧会・イベントです

コレクションによるテーマ展XI: 「郵便がつなぐ美術」

うらわ美術館
終了しました
美術作品の中には、カンヴァスに描かれた絵や彫刻だけでなく、はがきや切手をモチーフにしたものや、郵便制度を取り込んで成立しているものがあります。日本では20世紀初め、私製はがきの認可後まもなく絵はがきブームが到来し、洋画家、日本画家を問わず数多くの美術絵はがきが発行されました。一方、イタリア未来派の画家たちはプロパガンダとして手描きの絵はがきを活用し、ロシア・アヴァンギャルドの作家たちは後にメール・アートの一端を担うことになるゴム・スタンプをいち早く作品の中に取り入れました。

1950年代半ば以降になると、単に切手やはがき、スタンプなどを手がけるだけでなく、郵便制度を意識的に利用する作家たちが現れるようになります。既存の美術制度に拠らない作品の自律と普及を目指し、作品を発表し交換する手段として、郵便が注目されたのです。最も早く郵便によるネットワークを確立したアメリカの作家、レイ・ジョンソンを筆頭に、様々なアイディアや表現を郵便で取り交わす「メール・アート」と呼ばれるジャンルも生まれました。ギルバート&ジョージは展覧会の招待状を「彫刻作品」として発送し、河原温は自分が起きた時間を毎日葉書で通知する「I GOT UP」シリーズを制作しています(ギルバート&ジョージ、河原温は出品されません)。塩見允枝子はイヴェントを促す招待状を世界各地のアーティストに送付し、返送されたイヴェントの記録から空間的な詩を意味する「スペイシャル・ポエム」をまとめました。既存の美術制度に縛られないこのような活動は、アーティスト・ブックの制作動機とも重なるもので、双方に携わる作家も少なくありません。

この展覧会ではうらわ美術館の所蔵品を中心に、郵便に関わる作品約30点を展示します。私たちの生活に身近な「郵便」という視点から作品を眺めることで、思わぬ面白さが感じられるのではないでしょうか。また、すでに様々なイメージをまとっている「メール・アート」という言葉に左右されることなく、広く「郵便がつなぐ美術」として作品を捉え返すことで、改めて美術と郵便との関わりについて考える契機になれば幸いです。

スケジュール

2008年11月15日(土)〜2009年1月25日(日)

開館情報

時間
10:0017:00
金曜日・土曜日は20:00まで
休館日
月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌日休館
入場料無料
会場うらわ美術館
http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/
住所〒330-0062 埼玉県さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ 3F
アクセスJR宇都宮線・湘南新宿ライン・京浜東北線浦和駅西口より徒歩8分、JR京浜東北線北浦和駅西口より徒歩18分
電話番号048-827-3215