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松井冬子 展

成山画廊
終了しました

アーティスト

松井冬子
本来の正しい日本画家の作画の特徴として、描く対象を実際に見て下図を作る事に注目してみますと、松井冬子の独創性を強く感じます。例えば狂った水仙を描いた「Narcissus」では奇形の野の花を取材し、その特徴と本来の形体を合わせて松井の水仙が誕生しました。主要な美術大学受験予備校の参考資料となっている彼女のデッサンの持つ確実な写実力、表現力を実際にご確認頂ければ幸いです。

「美術家にとって素描とは世界にアクセスするための第一段階である。形状、質感、色などを記憶して残すため、あるいは感覚を記憶に閉じ込めるための手段であり、すべてのペイントの起点になるものと言える。

作品が生まれるための初歩段階である「素描」には、上記のようなぶつ撮り的記憶に近い素描と、個人感覚の痕跡としての素描とに大きく分けられる。

前者は制作する際、伝統的な手法によって制限を受けていたり、訓練によるスキルと運動自体が魅力となる。例えば円山応挙、河鍋暁斎、川合玉堂など、日本画家は不断なる練習によって、水や煙などとらえ所のない対象を、陰影を使わない線描のみでの表現を可能にし、奥村土牛などはプリミティブなライブ感覚とは異なる完成された作品として素描を打ち出している。後者はそのような制限から離れた対置におり、作者の原始的な感覚に魅力の比重が置かれる。例として写真家ピエール・モリニエや彫刻家のオーギュスト・ロダンの素描にはペインターとは異なった、触感的で官能的な性質を見ることができるし、ジュリアン・サルメントはイメージを還元し、感情を喚起する事に成功している。また、その他にディノス&ジェイク・チャップマンなどは意図的に稚拙なテクニックを使って素描を無意識の媒介として利用している。

素描は、完成された作品よりも極めて魅惑的であるケースは少なくない。なぜなら、描き手にとっては世界にアクセスする初歩段階としてのフレッシュな手段であるがゆえに、我々は四畳半の部屋に転がるテッィシュを見せられるような、リアリティを垣間みることができるからである。またそのシンプルさゆえ、モチーフやテクニック、コンセプトによって、描き手のパーソナルスペースに大きくシンクロできる可能性を秘そめていると言えるだろう。」 松井冬子

[画像: 「無傷の標本」大下図 2009年]

スケジュール

2009年12月4日(金)〜2009年12月26日(土)

開館情報

時間
13:0019:00
休館日
水曜日、日曜日、祝日
展覧会期間外は要予約
入場料無料
会場成山画廊
http://www.gallery-naruyama.com/
住所〒102-0074 東京都千代田区九段南2-2-8 松岡九段ビルディング205
アクセス東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅2番出口より徒歩2分
電話番号03-3264-4871
関連画像

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