小山登美夫ギャラリー六本木ローリー・シモンズはおもちゃや腹話術の人形、オブジェで構築した世界を写真作品として発表しています。間の取り方や色彩、ライティングにおいてヒッチコックを理想としている、と語るシモンズは、演出や誇張した色、強調したライティングによって「人造」の要素を追求しています。写真はシリーズとして制作し、1シリーズ完結後、次のシリーズが始まるという物語的なスタイルをとります。シンディ・シャーマンらと同様に1970年代ニューヨークにおいてはフェミニズムの文脈で解釈されてきましたが、性差の問題にとどまらず、人間存在という根源的な問題に取り組んでいるといえるでしょう。
「私は、与えられた状況のなかで最大限のリアリズムを求めるの。でも、出来上がりは歪んだリアリズムなのよ」(「暗号を歌う女 ローリー・シモンズとシンディ・シャーマンの対話」『LAURIE SIMMONS - ローリー・シモンズ写真集』PARCO出版局、1987年刊、p.9より引用)
シモンズの作品において虚構と現実の境界線は融解し、そこにはただ、生めかしく呼吸する人形とマネキンのような人間が存在するのです。
本展は、70年代から2008年の新作に至るまで、シモンズの8シリーズから作品を紹介する、レトロスペクティヴとも言える展覧会です。まさしく70年代のインテリアの中に、もの思いにふける主婦のようなヴィンテージの人形を配した「Early Color Interiors」(78年-79年)、人形たちがエッフェル塔やラスベガスのカジノなどで奇妙な観光を繰り広げる「Tourism」(83-84 年)、舞台装置のように組み立てられた箱の中で人形たちのリアリズム演劇が行われているかのような「The Boxes (Ardis Vinklers)」(05年)、また、巨大なバラの花のオブジェの下から人間のしなやかな足がのぞいている新作「Sitting Rose」(08年)など、全22点の作品を展示予定です。
[画像: 「Blue Woman/ Blue Water」 (1983) © Laurie Simmons]
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