カスヤの森現代美術館現在、一部のマーケットに左右され全体として混沌とした感がある日本のアートシーンにあって、現代美術を改めて見詰め直す試みとしてヨーロッパのアートを見直し、それを足がかりに日本における現代美術の可能性を再考しようと、2010年は年間を通し幾つかの企画展を計画しています。今展ではドイツ人アーティストのKlaus Osterwald(クラウス・オスターバルト)の音に注視したインスタレーションと、やはり音や響きをイメージさせる平面作品を日本初公開します。 クラウス・オスターバルトのインスタレーションには音と土が欠かせない要素として取り入れられています。 会場内で音を反響させ増幅させるために設置される造形物には、プラスチックやFRP素材ではなく作家自らが焼いた陶器=土が用いられていますが、これは単に成形の問題や音を発する装置の素材として吟味された物ではありません。土には採取された地域や地層の深さなどの違いから、時間の堆積や場所の特性などのデータがあたかも生物における遺伝子情報のごとく含まれています。オスターバルトのインスタレーションは、その陶器=土の造形物に音(波動)を与え、その共鳴する響きの中から土に内包されている様々なデータを探り当て様とするもので、ある時代に風化した岩石の細かいくずや生物の遺骸およびその腐敗物、その他微生物などの存在を音を通じて感じ取るという、ある意味考古学的なイメージが強く感じられる特異なインスタレーションといます。それは、不可思議なオブジェから何らの意味もなく、ただ音が流れ続けると言ったような奇をてらった形だけのインスタレーションとは明らかに質を異にするものです。
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