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森住卓 「パキスタン・カシミール~地震被災地に生きる~」

コニカミノルタプラザ
終了しました

アーティスト

森住卓
「山が動いた」と被災者たちが表現したマグニチュード7.6のパキスタン北部地震から5年が過ぎた。死者9万人以上、被災者は250万人に上った。この地域はユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートの境界にあたり、地震の頻発地帯となっている。同時にインド、パキスタンのカシミールの領有を巡り、軍事的に揺れ動いている地域でもある。

パキスタン・カシミールの中心地でもっとも被害の大きかったムザファラバード、インドカシミールの国境の村チャコティー、震源から西に20キロのバラコット。ここからさらに山奥のハングライ村やヌーリー村を訪ね歩いた。地震の翌年正月、ハングライ村を訪ねた。入り口の町バラコットから雪道を徒歩で向かった。途中、日が暮れかけた頃、「うちに泊まっていけ」と青年が声をかけてきた。新婚ほやほやの若夫婦が住む、バラックの掘っ立て小屋だった。質素な夕食後、夫は「布団がないので一緒に寝よう」と言った。雪が隙間から吹き込んで、足先がしびれる程冷たいのになぜか心は温かだった。

翌日、昼頃ハングライ村に着いた。村人の多くが村を離れ都会に出て行った。村を捨てられずに残っている人々は雪の中で懸命に生きていた。再開された小学校では、たった一人の先生が子供たちに勉強を教えていた。家族や友達を地震で失った子供たちにもようやく笑顔が戻り始めていた。取材を終えて村を去る日、長老が村のはずれまで見送りにきてくれた。「春になったら村中がアンズの花でいっぱいになるから、また村に来いよ」と言いながら、大きく膨らんだビニール袋を土産にくれた。開けてみるとクルミだった。昨年の秋に蒔いた小麦が地震で全滅し、確実に食糧不足になる。クルミは村人の重要な食料になるはずだ。その「命のクルミ」を土産に持ってゆけという。自然とともに暮らす人々の心の温かさや優しさを感じた。凍てついた真冬の山の中で心が解けていくようだった。日没の迫った谷間に祈りの時を告げるアザーンの声がこだました。

スケジュール

2010年11月23日(火)〜2010年12月2日(木)

開館情報

時間
10:3019:00
休館日
最終日は3:00pmまで
入場料無料
展覧会URLhttp://konicaminolta.jp/plaza/schedule/2010november/gallery_c_101123.html
会場コニカミノルタプラザ
http://konicaminolta.jp/about/plaza/index.html
住所〒160-0022 東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F
アクセスJR新宿東口より徒歩1分
電話番号03-3225-5001