清里フォトアートミュージアム現存する最古の写真は、フランスのニセフォール・ニエプスが、1827年の夏に8時間をかけて露光し、画像の定着に成功したものです。その後、さまざまな写真技法が生まれましたが、基本的には、レンズが光を集め、フィルムを感光させ、印画紙を露光・現像するという行程が長く行われてきました。現代においては、フィルムや印画紙の現像を行う機会は少なくなり、メディア環境の発展とともに、写真表現は今後も多様化して行くでしょう。しかし、写真の源が、光であり、写真家の持つ眼差しであるということは変わりません。むしろ、写真は、現代の"高速社会"において、人間にとって本質的に重要な<時間>の持つ意味についても考える機会をも、もたらしてくれるのではないでしょうか。当館では、三つの基本理念の一つとして、プラチナ・プリント作品の収集・展示を行ってまいりました。1911年、プラチナ・プリントについて、アメリカの写真雑誌では「すべての写真のなかで、プラチナ・プリントほど美しく、永遠に保存性が高く、洗練された目を満足させるものはない」と記されたほど、突出した存在感を持つ技法だったのです。
本展では、プラチナ・プリント誕生期の1878年イギリスの写真から、近・現代の作品約80点を展示いたします。遡れば、光とは、誕生時の異なる光がさまざまに反射して宇宙から漂ってくるもの。写真は、地球に辿り着いた光の"名残り"と、写真家が選び取った時の交差を画像に定着させる表現芸術であるとすれば、写真を撮る・見ることの自由さはまさに無限大です。そして、写真に記録された<あの時>と、写真が表現する<これから>をどのように感じ取るのかは、写真を見る愉しさでもあります。K・MoPAは、今年で開館15年を迎えました。国内外の約8000点のコレクションから出品いたします。プラチナ・プリント作品の魅力をどうぞお楽しみください。
[画像:ピーター・ヘンリー・エマーソン(1886年)「『ノーフォーク湖沼の生活と風景』より 睡蓮を集める」]
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