ミヅマアートギャラリー(市ヶ谷)約2年半ぶりの個展となる本展は全て新作の6点の彫刻で構成されます。展覧会タイトルにもなった「生える少年」は、遠く空を仰ぎ、大きく腕を広げて私たちを迎えます。折れそうに細い身体からは圧倒的な存在感が放たれ、万事を受け止める包容力が充溢します。
本展に向け、素材としての「かたまり」と対峙し、格闘し、苦悩しながら制作に没頭したこの期間、世界を一変させる景色が私たちの目の前に現れました。あの日、「生える少年」を制作していた棚田が真っ先に思ったのは家族のこと。何かが本当の意味でリセットされてしまう不安感を抱えながら、かけがえのないものを守っていくために、何ができるのだろうと考えたと言います。
自然の猛威が当たり前にあった日常を流し去ってしまっても、残された「場」には時間の記憶があり、温もりや匂い、培ってきた歴史が確実に存在しています。その場所にはまた光が注ぎ、木々が芽吹くように、棚田によって一木から姿を与えられた少年少女たちは、まるでその地の養分を糧に芽吹いたかのごとく、上昇性をもって生命の源流を辿ります。
人間の非力さえ露呈したあの景色の前に、棚田自身も自らの「場」に立ち、取り巻く日常と向き合い、少年少女たちに命を与えることで、自らの均衡を保っているのかもしれません。
時期を同じくして9月22日(木)から10月10日(月・祝)まで青山・スパイラルガーデンにて開催される個展「○と一(らせんとえんてい)」でも計7点の新作が発表されます。本展と併せ、棚田の作品を一堂にご覧いただける機会となっています。
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