町田市立国際版画美術館田中陽子(1947-2008)は躍動感とリズム感のある形と色で木版画の可能性を追求し続けました。元気溢れる作風は見ている私たちまでわくわくした気分にさせてくれます。
木版画は日本では伝統的な技法としてよく知られています。古くは浮世絵から創作版画や棟方志功の骨太な作品、町田ではおなじみの畦地梅太郎の作品などまで、何かしらイメージが浮かぶことでしょう。木版画家は誰しも、その典型的なイメージを打ち破り、自分だけの作品を生み出そうと努力します。田中陽子は凸版である木版画に、部分的に凹版を取り入れて、即興的にもみえる線の表現を加えています。また、強く発色する不透明な絵の具を使い、上から蝋をひいたり、手彩色を加えたり、箔を乗せたりもします。それによって作品の表面には絵の具が盛り上がった部分やつるりとした部分などが誕生しています。「マチエール」、質感と呼ばれるこうした効果が作品に独特の強さをもたらしています。
町田市に住み、のびやかで生き生きとした形と色彩で木版画の世界に新しい息吹を吹き込んでいましたが、2008年、惜しくも急逝しました。
[画像: 田中陽子 「人もよう とぶ人 はねる人」(1987) 木版 1003x635㎜]
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