Gallery A山口は、日々のささやかな出来事の中の曖昧でもどかしい思いをみずみずしい感覚で描いています。少女のとらえどころのない表情やしぐさ、危うい可笑しみに満ちたシチュエーション、家具や食べ物、動物など彼女の中で突然重要になる身の回りのモノたち……。山口の視線の先の印象的なパースペクティヴは、私たちが心の奥底に隠し持っている秘密がこっそりはしゃぎだしてしまったかのような無邪気な生の匂いに溢れています。
山口の代表的なペインティング「白いパンツ姿の女の子」のシリーズでは、物語を秘めたような裸の少女たちの佇まいや何かを語りかけてくるような強い瞳についひきこまれ「みつめ、みつめられる」という感覚にしばし時を忘れてしまいます。少女たちに宿るオーセンティックな魅力は、「ふつうに暮らす」宝探しから見つけた山口のあやふやな感情の尊さが結実したものと言えるでしょう。少女たちはいつも私たちの希望と共鳴して「人生を受け入れようとする試みと共にある幸せ」をオプティミスティックに実感させてくれるのです。
展示タイトル “一緒にしたり、別々にしたり” は「気がつかない事に気がつきたい」現在の作家の心情を表しています。今回、山口はリアリティの中で依り所なくはみだしてしまったものの間に含まれるもっと豊かなイメージに全身で意識をむける為の見つめ方をインダイレクトな複雑性を通して探ろうとしています。 表現空間に交錯する絵画間には調和とズレが混ざり合い、観る者が固定的な解釈よって括られることなく全く別の所へ帰結していけるわがままの自由度を高めます。さらに展示の一環として山口が近年書きためた詩もZINE「千年さん(ちとせさん)」として発表予定です。混成状態でまぎれこんだ唐突な言葉の連鎖はユーモアをたたえる生き生きとした世界感で私たちをくすぐり絵画と不思議と融け合いながら、誰の中にも潜む埋もれてしまった小さな美しさにも明るい輝きを与えてくれることでしょう。
[画像: 山口智子 「一緒にしたり、別々にしたり」(2011) acrylic on canvas ]
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